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スーパーTC2000:プライベーター・フォードが予選レース勝利の大金星

2017年11月08日 13:02  AUTOSPORT web

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今季初勝利を挙げたエスクーデリア・フェラby RAMレーシングのダミアン・フィネンチ
ホセ-マリア・ロペスやエステバン・グエリエリ、ネストール・ジロラミら、世界レベルのドライバーを多数輩出してきたアルゼンチンのツーリングカー選手権、スーパーTC2000の第10戦サン・フアンが11月3~5日に開催され、土曜の予選レースでプライベーター・フォードに乗るダミアン・フィネンチが勝利し、ファクトリーチーム勢を出し抜き今季初勝利となる金星を挙げた。

 2018年ダカールラリーではステージの一部としても活用される、アルゼンチン西部サン・フアンの山岳地帯に位置するアウトドローモ・エル・ゾンダを舞台に開催されたシリーズ第10戦。予選で速さを見せたのは、ポイントリーダーに君臨するルノー・スポールのファクンド・アルドゥソ(ルノー・フルーエンスGT)だった。

 最速タイムを記録したルノーに続き、2番手タイムもファクトリーチームであるチーム・プジョー・トタル・アルゼンティーナのマリアーノ・ウェルナー(プジョー408)となり、3番手と健闘したエスクーデリア・フェラby RAMレーシングのフィネンチ(フォード・フォーカス3セダン)が続いた。

 しかし、このSTC2000独自の"選手権ポイントに基づくグリッドペナルティ・システム"が適用されアルドゥソは8番グリッドに降格。

 土曜予選レースに向けてはフィネンチとイグナシオ・ジュリアン(ルノー・スポール/ルノー・フルーエンスGT)がフロントロウに。TOYOTA GAZOO Racingアルゼンティーナのマティアス・ロッシ(トヨタ・カローラ)と、マティアス・ムニョス(チーム・プジョー・トタル・アルゼンティーナ/プジョー408)がセカンドロウに並ぶこととなった。

 土曜正午スタートのクオリファイレースは、6番グリッドから意地を見せたプジョーのウェルナーが躍進。4番グリッドだったチームメイト、ムニョスのサポートを受けオープニングラップで4番手に浮上すると、2周目の1コーナーではトヨタのロッシをオーバーテイク。

 続いて、前を行く2番手ジュリアンのルノー・フルーエンスGTをロックオンすると、間髪を入れずにインを突き、早々にトップを狙える位置まで駆け上がる。

 しかし、この勢いに対抗すべく首位のフィネンチは粘りを見せ、ファクトリー・プジョーの猛追に対してプライベーター・フォードのパフォーマンスを絞り出すレースペースで応戦。

 3番手ジュリアンのルノー・フルーエンス以下を引き離し、2台のマッチレースの様相となった戦いは、終盤まで1.5秒のマージンを維持し続けたフィネンチが、プジョー408を下す意地を見せ12周のトップチェッカー。フォード・フォーカス3セダンとチームに、うれしい今季初勝利の金星をもたらした。

 2位ウェルナーに続き、3位には終盤に入ってジュリアンにポジションを譲られた形で選手権リーダーのアルドゥソが入り、ルノー勢はチームプレーによりポイントロスを最小限に抑えるレースを見せた。



 このクオリファイレースの結果がそのままグリッドとして適用される日曜のフューチャーレースで、ポールポジションからのスタートとなったフィネンチだったが、オープニングラップのヘアピンでフロントロウに並んでいたプジョーのウェルナーにクロスラインを仕掛けられ早々に陥落。続けざまのシケインでは、セカンドロウ発進のルノー、アルドゥソにも先を行かれ、レースは序盤からタイトルコンテンダーたちの真剣勝負と化していく。

 6周目にはフィアット・ペトロナスのエマニュエル・カセレス(フィアット・リネア)がコースオフし最初のセーフティカー(SC)が導入されると、リスタート後には中団で多くのバトルが勃発。

 TOYOTA GAZOO Racingアルゼンティーナのブルーノ・エトマン(トヨタ・カローラ)が高速S字コーナーとなる通称"スネーク・ターン"で、マルティン・モッジア(シトロエン・トタル・レーシングSTC2000チーム/シトロエンC4ラウンジ)に並びかけるも、接触からコースオフしウォールに激しくクラッシュ。これで早くも14周目に2度目のセーフティカー・ランとなってしまう。

 そのリスタートで、首位ウェルナーは2番手アルドゥソを再び引き離しにかかると、2台の駆け引きはさらに激化。21周目に曲率の変化する複合コーナーで"ブレーキテスト"を仕掛けたウェルナーに、アルドゥソが反応できず追突。

 この動きに対し、スチュワードは警告の白黒旗を掲示するも、アルドゥソはチームに無線を通じて「首位プジョーのドライビング・ムーブは故意のもので、危険極まりないのは相手の方だ」と不満を表明。

 最後まで神経戦の続いた首位争いは、結局"疑惑の攻防"を制したウェルナーが38周を耐え抜き勝利。2位にアルドゥソが入り選手権首位の座をキープし、3位にはヘアピンから"スネーク・ターン"の攻防でフィネンチをかわしたルノーのリオネル・ペーニャが入った。

 いよいよ選手権も大詰め、残り2戦となるスーパーTC2000第11戦はアルゼンチン中南部に位置するリオネグロ、ジェネラル・ロカのトラックを舞台に11月24~26日の開催となる。