トヨタ自動車の求人広告が、今回も攻めている。同社は今年7月、NECや富士通などのメーカー事業所が多く並ぶ南武線沿線の駅に「えっ!? あの電気機器メーカーにお勤めなんですか! それならぜひ弊社に来ませんか」といった求人広告を掲載。沿線の大手企業に勤務するエンジニアを引き抜こうとしていると話題になった。
今回、同様の求人広告が、都内各駅と大阪駅、奈良交通バスの車内に掲載されていることが分かった。東京メトロ六本木駅に掲載されているポスターには
「南武線での求人広告の次は、六本木ヒルズだと思いました」
とのコピーが記載されている。強気の姿勢は健在のようだ。
「六本木で働くみなさま、次は画面の枠を超えたものづくりをしませんか」
求人広告は全部で30種。うち、六本木駅には5種類が掲載されている。キャッチコピーは前出の他に
「六本木で働くみなさま、次は画面の枠を超えたものづくりをしませんか」
「大きな声では言えませんが、hogehoge社のエンジニアを探しています」
の2種類を加えた3パターンある。六本木ヒルズには、グーグルやアップルの日本法人、メルカリ、バイドゥなど、著名なIT関連企業が多く入居している。トヨタは昨年、同社がアメリカに設立した人工知能の研究開発会社の幹部に、グーグルのロボット開発責任者だった人物を登用するなど、優秀な技術者の確保に本腰を入れていたこともあり、ネットでは「hogehoge社」はグーグルではないか、との憶測も広がっていた。
ただ、トヨタの広報担当者に確かめると、これはプログラミングの際、曖昧な部分を表現するジャーゴンとしてのhogehogeを使ったまでで、特定の企業を指す意図は無いそうだ。南武線沿線に広告を出した時と同様、
「自動運転やコネクティッド技術に関わる優秀な技術者を幅広く求めており、駅周辺の企業の方からのご応募を期待しておりますが、具体的な企業名は差し控えさせていただきます」
とのことだった。
南武線の広告掲載時には、求人サイトへのアクセス数10倍
今回、前回と同様の強気の広告を出した背景には、南武線広告での効果も影響しているようだ。話題になった前回の取り組みのおかげでキャリア採用のホームページへのアクセス数は広告を出す前の10倍になり、「認知の向上には一定の効果があったと評価」しているという。実際に「先端メーカー」や「電気機器メーカー」からの応募があったかについては
「詳細については、回答をご容赦いただきたく存じますが、一定数の応募の増加には繋がっております」
と言葉を濁したが、それなりの成果があったようだ。今回の求人広告は、駅・地域によって差はあるものの、11月20日まで掲載される予定とのことだった。