三越伊勢丹ホールディングスが11月7日、3カ年経営計画(2018~2020年度)の一環としてデジタルを活用した成長戦略を発表した。
会見に出席した杉江俊彦社長は「今のお客様はネットで事前に検索してから買い物にくることが多く、逆に検索で出てこないと来店して頂けないことも多々ある。我々が持っている情報を全てデジタル上にあげて、検索に引っかかることが重要」とデジタル化の重要性についてコメント。同社では個々の顧客に対して個別のアプローチをしていくOne to Oneマーケティングを強化するべく、「エムアイカード」加盟店や関連会社等でのカード会員の購買情報など、これまでリンクしていなかった顧客情報を一元的に管理するシステムの開発に着手している。これにより、400万人のカード会員の趣向や購買履歴を店舗販売員が確認できるような仕組みを構築し、店舗とオンラインの双方で顧客にとって最適な情報を提供したい考え。
また、業務フローをデジタル化し「全ての情報がリアルにもオンラインのデータ上にもあがるような仕組み作りをしていく」(杉江社長)。例えば、これまではDMやチラシで宣伝・訴求するためにバイヤーが3カ月前から訴求計画を作っていたが、業務フローのデジタル化により、バイヤーが仕入れた商品をリアルタイムでその場で発信できるようにしたり、バイヤー室の横で商品の写真を撮影してすぐにウェブに掲載できるような体制を整えたいという。
デジタル化に伴い、ECビジネスも再構築する。HUBシステムを活用して取り組み先の全在庫と連動を図ることで、百貨店の店頭では展開されない低価格商品もウェブで展開。すでにワコールやTSI、サンエーなどと連携を始めているという。また、ウェブサイトを持たない取り組み先に対しては商品を同社の倉庫で保管し、ECで販売するといったビジネスも視野に入れており、杉江社長は「ゾゾタウンに近いビジネスになるんじゃないか」と展望を語った。
同日発表した2018年3月期第2四半期の連結決算は、訪日外国人客の消費の伸長や株式市場の活況などにより国内の大都市店舗を中心に売上が好調に推移。売上高が5,952億円(前年同期比2.2%増)、営業利益が76億(同25.4%増)、経常利益が95億(同26.0%増)で、純利益は店舗閉鎖による損失を計上したことなどで1,800万円(同99.8%減)となった。