シーズン終盤戦に入り、戦闘力の向上が著しいレッドブル
4年ぶりにメルセデスからポールポジションを奪えるか?
奇しくも4冠達成は同じ32歳──。ミハエル・シューマッハーと同年齢でルイス・ハミルトンは並んだことになる。気が早いかもしれないが、来シーズン以降、年齢を重ねるたびに冠の数を増やしていくか。さらなる“王道”を進むハミルトン。
2年前、アメリカGPで3冠を決めると、残る3レースともハミルトンは2位で終えた。ニコ・ロズベルグがいずれもポール・トゥ・ウインを飾り、もうひとつ勝ち気がないようにも映った(後に本人も認めたが)。タイトルを決した後も、モチベーションを保ち続ける“サイコアナリンス(精神分析)”は王者だけにしか分からない……。
10月から秋の“ミニ・チャンピオンシップ”に、勝ち気満々で挑んでいるマックス・フェルスタッペン。マレーシアGP優勝後、2位、4位、優勝と連ね80点。ちなみに2位ハミルトン70点、3位バルテリ・ボッタス50点、4位セバスチャン・ベッテル42点だ。タイプが異なる4サーキットで実証したレッドブルの戦闘力向上は著しく、パワーユニットの信頼性が唯一のネガティブファクター。
インテルラゴスは全開率70%前後が予想され、セクター3の上り坂からのメインストレートでメルセデス絶対有利と見られてきた。事実、2014年から彼らは3連勝している。昨年、このセクター3で予選ベストはハミルトン16秒573、フェルスタッペンは16秒800でかなわなかった。
8コーナーが集中するセクター2では30秒360に対して30秒637、フェルスタッペンはメルセデス勢に迫る3位タイムだ。最近の傾向から、彼のここでの全開率はいっそう高まり、ボトムスピードもクリアスピードも上がると見ていい。メキシコでは低中速エリアのマシンバランスが完璧、きれいな“4ホイール・ドリフト姿勢”で通過。
そのセットアップをベースに空力特性を合わせ込めば、セクター3の“ハンデ”をカバーできる可能性がある。予選Q3はメルセデス製パワーユニット“ハイブースト”の一撃効果はあるものの、それも“コーナリングセクター”では決定的なものにならないのではないか。
大胆予想すると、フェルスタッペンが初ポールポジションを賭け、ハミルトンに挑む構図が浮かび上がってくる。13年ベッテル以来、4年ぶりにメルセデスのポールポジションを彼とレッドブルが阻むか……?
今宮純が厳選するF1第19戦ブラジルGP、6つのキャッチポイント
キャッチポイント1
去就が注目されていたフェリペ・マッサが、自ら4日に「今季限りで引退」を表明した。“解雇”されるかたちではなく、チーム側も彼に配慮したのだろう。これが母国グランプリラストラン、昨年リタイア後に感情的になっていた彼は、実は涙もろい。イベントの合間に主催者側がセレモニーを企画するか? マッサが去ったままだと、18年シーズンはブラジル人ドライバー不在となる。1969年以来のことだ。
キャッチポイント2
見どころは、もうひとつの“三つ巴戦”だ。6位トロロッソ(53点)対7位ルノー(48点)対8位ハース(47点)。“6点差”だけに、お互い逆転射程圏内にひしめいている。シンプルに言えば、7位入賞で6点ゲット、中間チームのチャンピオンシップはまだ終わらない。
キャッチポイント3
コンストラクターズ4位までが確定。そこで気になるのは、フォース・インディアの“チームオーダー問題”。いつでも、どこでも、コース上で競合し合うセルジオ・ペレスとエステバン・オコンの内戦情況が続いている。昨年、ペレスはブラジルGPで自己最高の4位、オコンもマノー8戦目にシーズンベストの12位と健闘。どのチームメイトよりも熱いふたりのフリーバトルがここから解禁?
キャッチポイント4
ピエール・ガスリー4戦目、ブレンダン・ハートレイ3戦目、トロロッソに飛び乗ったふたりともチームとマシンに馴染みはじめ、実力が問われる一戦となる。シンガポールGPでカルロス・サインツjr.が4位入賞を記録してから、無得点が続くトロロッソ、ここでチームに追加点をもたらした者が、先に来季の契約確定か。
キャッチポイント5
あと2戦になったマクラーレン・ホンダに望むこと。アロンソもストフェル・バンドーンもグリッドダウンペナルティなく、予選実力に応じたグリッドからの戦いを……とそれだけだ。昨年の最終2レース、アロンソはともに10位フィニッシュで締めくっている。それ以上でもたとえそれ以下であっても、目に焼きつけておきたい。
キャッチポイント6
サンパウロ・ウェザー、気まぐれな雨がほぼ毎年のように降ってくる。赤旗混乱により3時間オーバーとなった昨年の決勝、13年には金・土曜ずっと雨が続いた。長期予報によれば週末は下り坂、最終戦の中東アブダビGPを前に、ここが今年最後の“雨がらみ”になるか。プレフィナーレ、見どころいっぱいのインテルラゴスだからこそ、70年代から35回も続いてきているのだ──。