F1シーズンを転戦していると普段見かけない人との出会いがある。そんな人に、「あなたは何しに、レースに来たのか?」を尋ねてみる特別企画。今回は、1985年からウイリアムズ広報として活躍していたアン・ブラッドショーだ。
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この顔を見て、「懐かしい」と感じた方は、かなりのF1通である。彼女の名は、アン・ブラッドショー。80年代から90年代にかけて、ウイリアムズの広報として活躍していたベテランだからである。
ブラッドショーがF1チームで広報活動を始めたのは、1985年のウイリアムズ。一緒に仕事をしたドライバーはナイジェル・マンセル、ケケ・ロズベルグ、ネルソン・ピケ、リカルド・パトレーゼ、アラン・プロスト、アイルトン・セナ、デーモン・ヒルら一流ドライバーばかり。さらにラルフ・シューマッハーやファン・パブロ・モントーヤといったクセのあるドライバーとも仕事をするなど、豊富な経験の持ち主だ。
その後、2000年代に入って、F1チームでのフルタイムの広報活動にピリオドを打ったブラッドショー。だが、パートタイムではザウバーの広報のサポート役を行ったり、アブダビGPやメキシコGPのメディアセンターで地元のスタッフをサポートするなど、いまでも年に数回サーキットに顔を出し、現役でF1界で活躍していた。
そのブラッドショーが今年はメルボルンから、いやバルセロナのテストからずっとサーキットにいる。ブラッドショーはその理由を「じつは私は今年からランス(・ストロール)の個人広報になったの」と語った。
「昨年の10月にクレア(・ウイリアムズ/フランク・ウイリアムズの娘であり、ウイリアムズ・チームの副チーム代表)から『ランスの個人広報を探しているんだが、適任者がいたら紹介してほしい』っていう電話があったのよ。そこで私はランスの父親と面会し、やることにしたの」
いったんは、フルタイムでの仕事から離れたブラッドショーが、再びF1村に戻ってきた理由はなんだったのだろうか。
「ランスの若さよ。何かに挑戦している若いドライバーをサポートするというのは、何物にも代えがたいモチベーシションよ」
ローレンスよりも年上のブラッドショーにとって、ランスはまるで孫のような存在。そんなランスを見守ろうとするエネルギーが、ブラッドショーの若さの秘密になっているのかもしれない。