ハンドメードマーケット「ミンネ(minne)」がスタートしてからまもなく6年。今年8月末時点で作家数37万人、作品数620万点を突破し、サービス開始からの流通総額が200億円を超える国内最大のサービスに成長した。ハンドメードは"安くて可愛い手芸アイテム"といったイメージが根強いが、ミンネでは手芸に留まらずアクセサリーやファッションアイテム、家具、食など上質な商品が次々と生まれ、趣味の場だけではなくプロの活動の場として成熟しつつある。今年9月には事業開始後初となるブランド・アイデンティティーを策定。"買い手優位"のフリマアプリが台頭するなか、ミンネは改めて作り手の可能性に光を当てる。
ミンネは2012年1月にスタート。当時は後発のサービスだったが、使いやすいアプリデザインやイベント企画の豊富さなどから作家による口コミで人気が広まり、2014年に国内最大のサービスに拡大した。2015年には初めてTVCMを打ち出すなど、運営会社のGMOペパボが積極投資。作家数や作品数は一度も下がることがなく推移し、サービス開始からの流通総額は200億円に到達した。ミンネの生みの親であるGMOペパボ 阿部雅幸氏は「想定していたよりも早い段階で拡大し、買い物先の一つとして認知されるようになった」と振り返る。手作り市場の成長とともに、作品のクオリティーも向上。作家の多くは女性が占めているが近年は男性の活躍が目立っており、ミンネをきっかけに会社を辞めて作家に転身したり、自身の店舗をオープンするなど"作家の人生を変える"プラットフォームへと発展しているという。
しかし一般的に、ハンドメードというジャンルは「女性向きの手芸アイテム」「安くて可愛い」というイメージが根強い。世間と同社が伝えたいメッセージに相違があり、また、近年は「メルカリ」をはじめとするフリマアプリが台頭。価格交渉が頻繁に行われるなど"買い手優位"のフリマアプリとは異なり、「良いものをちゃんとした価格で売れるマーケットにしたい」というミンネの思いを可視化する目的も含め、今年9月に事業開始後初となるブランド・アイデンティティーを策定した。具体的にはロゴデザインの刷新、コンセプトムービーの公開に加えて、ミンネの想いや価値を表現するタグラインとして「手が生んでいるから、 あたたかい。」を採用。サービス面では同じ"ハンドメード"である伝統工芸やブランドとのコラボレーションの機会を提供するほか、各作家のページにカスタマイズできる機能の導入を検討するなど、作家の成長をサポートする場としての方向性を改めて示し、多面的に可能性を拡げることに取り組みたい考えだ。
今後の目標は、買い物先の一つとしての認知をさらに広げること。そのためにイベントの開催などを通じてプロモーションを強化していく方針。また、ビギナー向けには勉強会を各地で積極的に行い、「活躍する作家が一人でも増えるようにサポートしていきたい」(阿部氏)と話している。
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