家に居ても「振り込め詐欺が発生しました」と注意放送が聞こえてくるし、たまに東京都内の繁華街を歩けば「キャッチセールスに気を付けて」などと大音量で流されている昨今。もはやこの世は、誰かが誰かを騙してお金を盗る方法を、常に考えているという前提で生きなきゃならないのかもしれない。
そんな中、「スマホで簡単に小遣い稼ぎができたらな」と考えている人は要注意。10月30日、消費者庁が最近増えているネットを使った消費者被害の手口を紹介し、注意を呼び掛けている。(文:okei)
「月収 200 万円以上稼いでいる人もいます」は真っ赤な嘘
対象は、株式会社アイデアが運営する『カシャカシャビジネス』という取引だ。ウェブやSNSで「あなたの写真が、今すぐお金に変わる!」などと宣伝。儲ける手法が載っているというPDFの情報商材『カシャカシャブック』を、「10万円のところ、今なら2万円」と持ち掛け購入させる。
カシャカシャブックには、「撮影した写真をInstagramにアップし、フォロワーを増やせば写真を販売でき、簡単に稼げる」とあり、電話サポートに誘導する。電話で「誰でも稼げます。元は取れます」などと口説き、7~150万円の特別コースに入会させるという。
高額な特別コースでは、自動集客ツール『インスタアップ』によって、SNSのフォロワーは増える。しかし実際には、写真は簡単には売れず「誰でも稼げる」わけではない。代表者を聴取の結果、「この方法で、月収 200 万円以上稼いでいる人もいます」という宣伝内容も嘘だったという。
アイデアは廃業する旨を申し立て、現在ウェブサイトは閉鎖されているが、同社以外にも情報商材の購入に関する消費者からの相談は多数寄せられている。消費者庁は今後も同様の手口が増えるとみて、「中身が見られない情報商材の購入」や、「簡単に収益をあげられるなどと宣伝している事業者」に対して注意が必要だとアドバイスしている。
1件500円の内職しようとしたら登録料600円
消費者庁の注意喚起は「消費者被害」となっていたが、筆者はあえてこれを「詐欺」と呼びたい。こうした手口は昔から様々あり、「折り込み広告にあった内職を申し込んだら、登録料を取られただけで連絡がつかなくなった」など、以前からよく聞く話だ。
筆者の知人も、子どもが小さくて働きに出られないという時期に、簡単な製図を1件500円で請け負うという内職をしたことがあると聞いた。登録料が600円だったが、何件かやれば元はとれると思い支払った。
しかし、なぜか製図に使う専用の定規など粗悪な道具一式を買わされ、やっと製図を提出すれば、細かい線のズレなどを理由にどんどん減額され、郵送料もこちら持ち。3か月で辞めたというが、支払われたのはほんの数百円だったそうだ。多額の被害ではなかったが、実質的にはマイナスだろう。
こうした詐欺まがいの商法は、手を変え品を変え時代に合わせて、常に私たちを狙ってくる。この件は、ほとんどの若い世代が常に持っているスマホや、日常的に馴染んでいるSNSが使われた。経路がなんであろうと、「稼ぐためには、先にお金が必要」ときたらまず疑うべきだ。こうした注意喚起の情報には敏感になり、類似の罠にかからないよう注意したい。