絵本作家でお笑いコンビ、キングコングの西野亮廣さんは自身のブログで11月5日、「慶應生の人気就職先ランキング1位が『銀行』って正気?」という記事を投稿し、ネット上で物議を醸している。
西野さんは4日、早稲田大学の学園祭で講演会を行った。開演前、舞台袖でメディア関係者と「今の学生が何を考えているか」という話をした際に、「慶應生の人気就職先の1位って『銀行』なんですよ」と言われて驚いたという。それについて、
「これは決して銀行で働かれている方を否定しているわけではなくて、事実として、銀行員は、なんなら真っ先にロボットに代替される職業だ」
と記し、慶應生は安定を求めて銀行への就職を選ぶのか、そうであれば銀行員のどこが安定しているのか疑問に感じているようだ。
「銀行を選ぶ学生を否定しているわけではなく、真意が知りたい」
西野さんは、銀行でスキルを身に着けて転職していくのだと思い、「他の職業で使うことができる銀行員のスキルって何ですか?」と聞いた。すると「彼らは『安定』を求めて銀行に就職するんです」と言われ、さらに驚いたようだ。
「こうなってくると、今度は慶應の学生さんと喋りたくなる。できれば就職先に『銀行」を選ぶ学生さんと。否定しているわけでは決してなくて、子供の頃から、たくさん勉強して、いい大学に入って、2017年に銀行員になろうとする人達の真意を知りたい」
西野さんからすれば、優秀で可能性に満ち溢れた慶應の学生が銀行という、古くて堅苦しいイメージのある業界を志望するのか疑問なのだろう。指摘の通り、AIが発達すれば今後人間の仕事が減ってしまう可能性もある。
ただ、そうはいっても慶應の学生に銀行が人気というのは本当のようだ。ワークス・ジャパンが2018年度卒業見込みの大学3年生、大学院1年生10万人に実施した調査によると、慶應生が最も就職したい企業は、前回調査に引き続き三菱東京UFJ銀行だった。2位は三菱商事、3位は三井物産となっている。
また慶應義塾大学によると、2016年度の就職先企業で最も多いのは、みずほフィナンシャルグループ(146人)。他にも3位に三菱東京UFJ銀行(91人)、8位に「三菱UFJ信託銀行(50人)などが上位ランクインしており、実就職先としても銀行が人気だといえそうだ。
銀行員「自分がクリエイティブ業だから代替されないと言いたいのか」
西野さんの記事に対してコメント欄では賛否両論が寄せられた。「面白いことより、安定を求めているのでしょうね。面白い仕事はリスクを伴いますから」という声がある一方で、「慶應卒銀行員です」という人は反論を書き込んでいる。
銀行員がロボットに代替されるという点については、「どんなイメージで言っているのか、代替される職業と代替されない職業の選別を説明してください」とコメント。その上で、
「自分がクリエイティブだから代替されないと言いたい思いがあるんでしょうか。銀行員はATMではありません。皆さんが知らない銀行の仕事は芸能界含めあらゆる業種に深く関わりお金の融通を利かせている仕事です」
と、銀行業の意義を説いた。
また、別の銀行員だという人は、自身が就職した理由を「(銀行の)サービスに興味関心を持って」だとした上で、安定志向で銀行を志望する学生については、「(会社の)名前を知ってるから『安心』で実際に今後『安定』かは別物ですよね」と書いていた。