ロイヤルホストなどの飲食店やホテルを運営するロイヤルホールディングスは11月6日、東京・馬喰町に「現金お断り」のレストランをオープンした。支払いは楽天EdyやSuicaなどの電子マネーや交通系ICカード、クレジットカードに限られ、店舗では、現金のチャージも出来ない。
今回オープンしたレストラン「GATHERING TABLE PANTRY 馬喰町店」で提供するメニューには、通常の洋食のほか、ワインやカクテルなどのアルコール類もある。ロイヤルホストで提供しているメニューと比べ価格に大きな差はないが、ファミリー層向けというよりは、食事とお酒を楽しむバルのような形態だ。
調理に火を使わなくても済むように工夫、床掃除の機械化なども視野
完全キャッシュレス化で現金の取り扱いを無くし、閉店後のレジ締め作業など、飲食店業界に特徴的な業務の効率化を図る。店長を始めとするスタッフの業務負担を削減し、生産労働人口減少に対応していくという。
同社広報担当者は、キャッシュレス化はあくまでも、生産性向上と働き方改革に向けた手段の1つでしかないと強調する。キャッシュレス化以外に、客の注文を各席のタブレット端末から取ったり、店舗内では調理に油や火を使わず済むよう工夫するなど、人員不足に対応できる仕組みを整えた。約40席の店舗を、数人で運営できる見込みだ。
これまで時間が取りにくかった人材育成についても、効率を上げて実践する。スタッフのトレーニングツール、マニュアルを簡単に作成可能なツールを使い、短時間でトレーニングできる環境を整えた。
今後の状況次第では、更なる効率化と機械化を進めていく予定だという。
「例えば床掃除などを機械に置き換えたり、売上状況(ご注文データ)と在庫管理、自動発注などの仕組みが連動してくれば、より業務が効率的にできるようになると考えております」
今回オープンするレストランは、業務効率や生産性向上のための施策を一から試すために作った実験的店舗。ここで得られた知見は、同社が運営するファミリーレストラン「ロイヤルホスト」や、天丼チェーン店「てんや」など、他のサービスにも反映させていく予定だ。
となると、現金使用不可型店舗がどのくらい拡大するか気になるところだ。広報担当者は「完全キャッシュレス化については、ロイヤルホストへの導入は想定しておりません」と、ファミレスでの導入は検討していないと明言した。
「もちろん電子マネーなど様々なキャッシュレスの導入は進めていく必要はありますが、ロイヤルホストは現金でのお支払いについてもあわせて実施いたします」
その他IT活用については、今回オープンする店舗で行う様々な取り組みの検証結果を見た上で、「他の事業で取り入れられると判断すれば、ロイヤルホストや他グループでも導入していく」とのことだった。