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アラサー世代の転職基準はどうあるべき? 重要なのは「タグ付け」「対話」「自己開示」

2017年11月05日 10:41  キャリコネニュース

キャリコネニュース

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今の会社に居続けるか新しい場所でキャリアを活かすか。選択肢がある分、迷いも多くなるのがアラサー世代だ。

転職するにしても、辞める決心はいつつければ良いのか。転職市場での強みはどう作ったらいいか。キャリア形成は計画的にと言われるが、具体的にどのくらいのスパンで考えたらよいのか。こうした数々の疑問を解消するためのイベント「会社でもやもやしているアラサーの転職基準を考える」が、10月下旬、東京・原宿で開催された。

登壇したのは、9回の転職経験を持ち、現在はアドビシステムズに勤務する熊村剛輔さん、人材研究所代表で、キャリコネニュースで連載を持つ曽和利光さん、フリー編集者の中川淳一郎さん、メンズ下着ブランドTOOT代表取締役社長の枡野恵也さんら4人。それぞれの知見に基づき、転職を考えるアラサーたちにアドバイスを送った。

転職時に自分の「タグ」があれば、1社目のネームバリューが無くても挽回できる

登壇者たちはこれまで仕事を辞める際、何を決定打にしてきたのだろうか。

曽和さんはリクルート在職時、担当業務と人間関係に馴染めず転職を決意した。「今から思えばものすごく子どもだった」と振り返るが、異動先の人事企画の部署で、人間を数として捉える仕事の進め方や上司に冷たさを感じ、辞めたい気持ちが強くなったのだという。

枡野さんは転職理由として「夢ややりたいことに対する現状の違和感」を挙げた。人から転職を持ち掛けられた場合には、「自分がやりたいこと、やれること、仕事で求められること」の重なりがどの程度かを判断基準としているそうだ。

自分が大事にしたいものは何なのかがはっきりしていれば、辞めるタイミングもおのずと決まるということだろうか。ならば、まずは自身の価値基準を把握する必要がある。モヤモヤを晴らす第一歩は、自分を良く知ることと言えそうだ。

これと合わせて重要なのが、自身の「タグ付け」だ。これが上手くいけば、1社目のネームバリューが無くても転職しやすくなると枡野さんは断言する。

タグは「今やっていることをどれだけやれる人間なのか証明するために、担当している仕事のプロになること。人生が仕事だけで終わらないようがんばること」の2つに気を付けることで作られると、枡野さんは言う。

「変化を求められたときに臆せず飛び込んでみることが大事。経理担当だけど忘年会担当になったとか、外からくるか、自分で起こすかどっちでもいいけど、今自分がやっていることと違うところにアンテナを張り続けるのって大切だと思います」

人から言われがちな「〇〇さんってこういう人だよね」という言葉をポジティブに変換し、自分のタグにするのも手だ。タグの付け方は、「転職時には自分をいかに肯定的に捉えてプレゼンできるかが大事」という、熊村さん、曽和さんの見解とも重なる部分があるようだ。

自分を露出して見た人に「こういうやつが欲しかった」と言わせるのがベスト

後半は会場からの質問に答えた。「短期的な見方より長期的な見方がいいと言われるが、具体的にどのくらいのスパンで考えたら良いのか」との疑問には枡野さんと熊村さんが回答。2人とも、5~10年単位で方向性をざっくり定め、1年~3年の単位で何をすべきか具体的に決めていた。

それでも決められない場合は「オリンピックが終わる2020年8月下旬にどうなっていたいか。世の中のイベント、自分のイベントに向けて動くといいかも」という中川さんのアドバイスを参考にすると良いだろう。

自分のやりたいことや出来ることは分かっても、求められていることが分からず困っている人には、曽和さんや熊村さんが言うように「露出を増やす」のが有効だ。特に、個人の情報発信が簡単で、様々な人の視界に入りこみやすい点から、SNSなどオンライン上での露出が効果的だという。熊村さんは

「自分を出していった結果、見た人に『俺こういうやつが欲しかったんだ』と言わせるのが一番いいパターンかと思います。『こういうスペックでこういうやつが欲しい』ってピンポイントで言える人は多くない。これこそまさにっていうのが出ていれば拾ってもらえる」

と、相手に「求めさせる」ように自己開示するメリットも語った。

ただ、こうした戦略が有効なのは「『できること』を求められたい上級者」だけだと枡野さんは指摘する。何を求めているのか知りたかったら、人と話して聞くところから始めるのが一番早く確実だというのが彼の意見だ。

「少しでも多くの人事エージェントに会って聞かないと分からないし、聞けば絶対に分かる。求められることは、誰かがいれば分かる。それが分からないというのは他人との対話が足りないといいうこと。人に会って話すのを繰り返せば、自ずから見えてきます」

会場に来ていた30代の男性会社員は、イベントを振り返り「自分が考えている範囲の外に大事なことがあるんじゃないかと思って参加したが、よかった。自分のやりたいこと、できること、求められていることの3つは何か考えたい」と感想を述べていた。