『第30回東京国際映画祭』の受賞結果が発表された。
本日11月3日に閉幕する『第30回東京国際映画祭』。クロージングセレモニーで各賞の発表が行なわれた。
東京グランプリ、東京都知事賞を受賞したのはトルコのセミフ・カプランオール監督によるSF作品『グレイン』。磁気壁によって混血の移民から守られている都市に暮らす種子の遺伝学者が、都市の農業プランテーションを襲った原因不明の遺伝子不全をきっかけに、遺伝子改良種子に影響を及ぼす頻発性の危機について研究する同僚研究者の行方を探す旅に出るというあらすじだ。
審査員特別賞に輝いたのは、父の野望と娘の自由の対立を描いたシルヴィア・ルーツィ、ルカ・ベッリーノ監督作『ナポリ、輝きの陰で』。最優秀監督賞は『アケラット―ロヒンギャの祈り』のエドモンド・ヨウ、最優秀女優賞は『マリリンヌ』のアデリーヌ・デルミー、最優秀男優賞は『迫り来る嵐』のドアン・イーホンが受賞。最優秀芸術貢献賞に『迫り来る嵐』、最優秀脚本賞に『ペット安楽死請負人』、観客賞に大九明子監督の『勝手にふるえてろ』が輝いた。
さらにアジアの未来部門作品賞を藤元明緒監督の『僕の帰る場所』、スペシャル・メンションをチョウ・ズーヤン監督の『老いた野獣』、日本映画スプラッシュ部門作品賞を戸田ひかる監督の『Of Love and Law』が受賞。「宝石の原石」のような若手俳優を顕彰する新設の東京ジェムストーン賞に松岡茉優、石橋静河、アデリーヌ・デルミー、ダフネ・ローが選出された。
『勝手にふるえてろ』で観客賞を受賞した大九明子監督は「紙を破いて投票してくださったお一人お一人に感謝したいと思いますし、私自身もそのような一人一人のお力があって、映画というものを続けてこられたな、と深く実感しております。映画にしがみついてきてよかったなと思っております」とコメント。また同作で主演を務め、東京ジェムストーン賞を受賞した松岡茉優のコメント動画も公開されている。
『第30回東京国際映画祭』では全231本の作品が上映。劇場動員数は63,679人を記録した。
■大九明子監督のコメント
大変小さな、短期集中の現場で、小さな組で撮影し、仕上げた映画でしたので、まさかこのような賞をいただけるとは思っておらず、ノミネート自体も本当に夢のようで、楽しい1週間を過ごしました。紙を破いて投票してくださったお一人お一人に感謝したいと思いますし、私自身もそのような一人一人のお力があって、映画というものを続けてこられたな、と深く実感しております。映画にしがみついてきてよかったなと思っております。ありがとうございました。
『第30回東京国際映画祭』
東京グランプリ/東京都知事賞
『グレイン』(監督: セミフ・カプランオール)
審査委員特別賞
『ナポリ、輝きの陰で』(監督: シルヴィア・ルーツィ、ルカ・ベッリーノ)
最優秀監督賞
エドモンド・ヨウ(『アケラット-ロヒンギャの祈り』)
最優秀女優賞
アデリーヌ・デルミー(『マリリンヌ』)
最優秀男優賞
ドアン・イーホン(『迫り来る嵐』)
最優秀芸術貢献賞
『迫り来る嵐』(監督: ドン・ユエ)
最優秀脚本賞
『ペット安楽死請負人』(監督・脚本: テーム・ニッキ)
観客賞
『勝手にふるえてろ』(監督:大九明子)
アジアの未来
作品賞
『僕の帰る場所』(監督:藤元明緒)
国際交流基金アジアセンター特別賞
藤元明緒(『僕の帰る場所』)
スペシャルメンション
『老いた野獣』(監督:チョウ・ズーヤン)
日本映画スプラッシュ
作品賞
『Of Love and Law』(監督:戸田ひかる)
SAMURAI賞
坂本龍一
東京ジェムストーン賞
松岡茉優
石橋静河
アデリーヌ・デルミー
ダフネ・ロー