2017年11月02日 17:53 弁護士ドットコム
個別指導塾「TOMAS」(トーマス)で講師をしていた男性が11月2日、勤務記録の改ざんなどがあったとして、運営会社のリソー教育(東証一部上場)を相手に2年分の未払い賃金約400万円を求めて、東京地裁に提訴した。
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男性は、千葉県の檜垣慶太さん(43)。訴状などによると、檜垣さんは2014年4月~2017年3月までTOMASの千葉校に勤務。賃金は授業1コマ単位と事務時間の時給で計算されていた。同校にはタイムカードはなく、授業の度に講師と生徒がサインする「日報」などの記録で勤務時間を管理していたという。
檜垣さんの主張は、「授業時間の付け替え」という、勤務記録の改ざんがあったというものだ。夏休みの時期などはほぼ毎日、フルタイムで働いていたが、会社側の勤務記録では、授業記録が一部削除されていたという。代わりに、日報には覚えのない時間帯に「偽造サイン」がつけられ、本来なかったはずの「休日」ができていたそうだ。
檜垣さんはトーマス側が、休日の割り増し賃金を払いたくないがために、付け替えを行ったと主張。付け替え切れず、そもそもカウントされていないコマもあるとしている。
このほか、授業以外の事務時間についても、多くの賃金が払われていないと訴えている。過去には、雇用保険が支払われていなかった(現在は支払い済)という経緯もあるそうだ。
提訴後の記者会見で、檜垣さんは「教え子でトーマスの講師をやっている大学生もいる。大学生はこれからの社会の主役。彼らの一番最初の職業が、ブラック企業と言って良いのかは分からないが、コンプライアンス意識の薄い会社で良いのかと考え、提訴する決意に至った」と話した。
トーマスは、「訴状が届いていない。これから事実関係を確認する」とコメントした。
学習指導塾の労働環境をめぐっては、労働時間の把握が適切に行われていないなどの問題が多数報告されている。厚労省も2015年3月、学習塾団体に対して、授業以外の労働時間について適正に把握するよう要請している。
(弁護士ドットコムニュース)