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メルセデス、次世代F1パワーユニットのコンセプトに「強い疑念」

2017年11月02日 17:11  AUTOSPORT web

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メルセデス・モータースポーツのボス、トト・ウォルフ
メルセデス・モータースポーツのボス、トト・ウォルフは、今週発表された次世代パワーユニットのコンセプトは、FIAとF1側の“ビジョン”にすぎず、マニュファクチャラーはこれを受け入れたわけではないと発言した。

 FIAとF1は、10月31日、F1マニュファクチャラーに対し、2021年以降の新たなパワーユニットに関するロードマップおよび主要な機構について示すとともに、要旨を公表した。

 新規則案を策定するにあたり、FIAはコストを削減すること、市販車との関連性を維持するためハイブリッド技術を残すこと、マシンのサウンドを改善することをターゲットに挙げていた。
 今回の提案では、1.6リッターV6ターボハイブリッドエンジンを維持しつつ、今のパワーユニットの音に不満を持つファンの声に応え、サウンドを向上させるために最高回転数を3000rpm引き上げるといわれている。また、MGU-Hは撤廃、MGU-Kが強化され、ドライバーがエネルギーデプロイメントを制御できるようになる。

 F1のモータースポーツ担当マネジングディレクター、ロス・ブラウンは、チームらと繰り返し会合を行った結果、今回の案にたどり着いたと述べている。しかしウォルフは、今回発表されたものは、あくまでFIAとF1が提案したものであり、これからマニュファクチャラーとともに協議を重ねていくためのベースにすぎないと述べた。


「これはレギュレーションというよりはビジョンだ。そしてマニュファクチャラーのビジョンというよりも彼らのビジョンだ」とウォルフ。

「F1が2021年にどういう姿であるべきか、エンジンの観点だけでなく、すべてを併せて定めることが重要だ」

「今、我々は、何かに合意するというよりも、対話のスタート地点に立ったところだ。正しい点もあるが、まだ完璧ではない」

「他の意見もあるということをはっきりさせておきたい」

「これはあくまでF1のマネジメント陣営が提示したものであり、来週、話し合う事項を確認し、そこから対話を始めていく」


 ウォルフは、FIAとF1が、マニュファクチャラー側に新コンセプトを説明したその当日に、これを公表したことに驚いたと述べている。また、新コンセプトのパワーユニットの開発には莫大な費用がかかるとも主張、新たなアイデアの方向性が正しいかどうか、「強い疑念」を抱いているとも発言した。

「これが我々が進む道であるといった形の表現がなされている。現在参戦する自動車メーカーはあまりいい印象を受けなかった」とウォルフが語ったとBBCが伝えている。

「これは彼らのビジョンであり、提案だ。我々が受け入れたわけではない。このコンセプトの欠点は、完全に新しいエンジンであり、新たな投資が必要であることだ」

「新しいコンセプトは、指摘されてきた弱点、つまり、開発コストとサウンドレベルといった問題に対応できるものでなければならない。しかもF1をグローバルな視点から見て、その視点と結びついている必要がある。しかしそういったものが一切見られない」