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「ポイント乞食」大量購入で数十万円分ゲット…副業にならない? 課税対象では?

2017年11月02日 10:23  弁護士ドットコム

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買い物をするたびにポイントがたまり、ある程度貯まればお金として使用できるーー。もはや買い物の常識となったポイントシステムだが、「お得な買い物」という本来の目的から外れ、ポイントを得ること自体が目的となる「ポイント乞食」もいる。


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例えば、10月には、農作物を取り扱う楽天の「Ragri」をポイントサイト経由で利用すると、981円の野菜購入に対して、2000円分のポイントがもらえ、しかも何回でも申し込みが可能であることが話題になり、結果として契約農家の生産範囲を大きく超える注文が殺到。一時「Ragri」のサービスが提供できなくなるという事態が生じたことがブログなどで報告されている。


結局、注文は大量キャンセルとなったが、1購入に対して、1000円分のポイントが付与されることになり、大量のポイントをゲットすることになりそうだ。


このような行為を繰り返して、ポイントを集めまくると、ポイントは何十万円分、何百万円分になることが想定される。購入を繰り返してポイントをゲットし続けることは、副業にはあたらないのだろうか。税金を納める必要はないのだろうか。李顕史税理士に聞いた。


●儲けと目的とした継続的な行為であれば副業に

税金という視点でみると、この問題は非常に複雑です。順番にみていきましょう。


まず今回のケースが副業にあたるかどうかを考えます。副業について明確な意味は定まっていないようですが、ここでは「会社員(公務員)でありながら、継続的に儲けることを目的として行っている事業」と、意味するものとします。


これによると当該ポイントを集めまくることが、儲けを目的とした継続的な行為であると認められれば、副業をしていることになります。副業によって得た利益は、専門的にいうと事業所得にあたると考えられます。事業所得とは事業を営んで得た所得のことです。ですから、ポイント獲得の目的が儲けることであり、継続的に行っているのであれば、事業所得となり確定申告が必要となるでしょう。


一方、継続的にまたは儲けようと思ってポイントを貯めるわけではなく、「結果的に」多くのポイントをもらえるからといってポイントを獲得する場合があります。多くの場合はこちらのパターンでしょう。この場合は副業にはあたらないのですが、獲得したポイントが雑所得にあたるとして確定申告が必要になる場合が考えられます。ただ獲得したポイントの価値が20万円以下であって、確定申告不要となる場合がほとんどでしょう。


●そもそもポイントを所得とみなすことができるのか

このように、営利目的で継続的に行う場合は事業所得として確定申告が必要であり、そうでない場合は20万円以下なら不要と考えるのが基本です。


ただし、「ポイントである」という点が問題を複雑にしています。複雑になる理由としては、2つが挙げられます。1つ目はポイントを対象とした明確な法律が存在していないこと、2つ目はポイントはマイルや電子マネーなど、換金性が高く、実質的に現金を得るのと変わらないものから、単なるサービスの提供であってほとんど換金性がないものまで、多種多様なものがあることです。


実際、ポイントも金銭以外の経済的な利益(所得税基本通達36-15)として所得とすべきという見解もあれば、現金とは厳格に区分してポイントは所得とみなさないという見解もあるようです。


仮にポイントを所得とする場合、さらに所得の計上時期が問題となります。所得の計上時期については、ポイントが付与された時点、使用した時点、また換金性が高い電子マネーに変えた時点など、さまざまな考え方があり、執筆時には法制度が定まっていないのが現状です。


現時点では商慣行の実態に法制度が追いついてないといえるでしょう。ただ繰り返しになりますが、多くの場合は確定申告が不要と考えられるので、その点は安心してください。私もポイント付与10倍とかをネットで見つけると、ポイント付与にひかれて思わず買い物してしまいます。


【取材協力税理士】


李 顕史(り・けんじ)税理士


李総合会計事務所所長。一橋大学商学部卒。公認会計士東京会研修委員会委員、東京都大学等委託訓練講座講師。あらた監査法人金融部勤務等を経て、困っている経営者の役に直接立ちたいとの想いから2010年に独立。金融部出身経歴を活かし、銀行等にもアドバイスを行っている。


事務所名 :李総合会計事務所


事務所URL:http://lee-kaikei.jp/


(弁護士ドットコムニュース)