MS&AD基礎研究所は10月24日、「働き方」に関するアンケートの結果を発表した。調査は今年8月にインターネットで実施し、20~60代の男女1000人から回答を得た。
ブラック企業に対するイメージを聞くと、「人手不足が慢性化している」が最も多く、「そう思う」(31.1%)、「ややそう思う」(30.4%)と回答した人の合計が61.5%となった。
次いで「サービス残業がある」(合計61.1%)、「定着率が悪い、離職率が高い」(合計60.1%)、「休暇の取得がしづらい」(合計57.3%)などと続く。
労働者の半数が「怒鳴る上司がいる企業はブラック」と感じる一方で経営側では4割に留まる
また「休暇の取得がしづらい」(57.3%)という雰囲気や、「休憩時間が十分にない」(55.1%)、「残業時間が月80時間を超える」(53.6%)など長時間労働に繋がる項目を挙げる人も半数を超えていた。
性年代別に見ると「業務量が多く常に業務に追われている」は20代男性(64%)が30代男性(41%)を23ポイント上回った。
「休憩時間が十分にない」「定時で帰れることがない」「休暇の取得がしづらい」といった世代間ギャップが大きい項目について同社は、「20代ではワークライフバランスを重視する意識が強いといえる」とし、
「しかし、社歴が浅く業務内容に不慣れであり、中堅・ベテランと比べ業務に追われる形となってしまうことが多いことが想定され、そういった自身の時間重視の考え方と実態とのギャップが『ブラック企業』のイメージにつながっていると考えられる」
とコメントしている。さらに経営・管理職層と労働者層を比べると、「怒鳴る上司がいる」(経営・管理職層43.1%、労働者層52.0%)、「精神論が語られることが多い」(45.1%、53.5%)、「人手不足が慢性化している」(57.6%、64.7%)、「サービス残業がある」(57.6%、64.0%)でギャップがあることも分かった。
ブラック自覚率、業種別では「福祉関連従事者」が1位
また自身の勤め先はブラック企業だと思うかと聞くと、「そう思う」(7.0%)と「ややそう思う」(16.9%)の合計が23.9%となり、4人に1人程度が回答している。また「そうは思わない」(32.1%)と「あまりそうは思わない」(22.6%)の合計が54.7%と半数以上を占め、「どちらともいえない」は21.4%となっている。
業種別に見ると、福祉関連従事者(50.0%)が高い数値となっており、同社は「業務の特性として負わなければいけない責任は大きい一方、責任と報酬がアンバランスとなっていることが度々指摘されており、そういった現状が反映した結果といえるものと考える」としている。
勤め先に対して思っている不満を聞くと、最も多かったのが「給与水準」(46.1%)となり、全体の3割以上が「最も不満に思っている」と回答している。他にも「昇給制度」(25.6%)、「有給休暇の取得のしやすさ」(21.3%)、「人間関係・職場の雰囲気」(20.9%)などが続く。
柔軟な働き方や新しい働き方を支援する制度について聞くと、「産休制度」が最も多く63.3%となった。次いで「育休制度」(57.6%)、「時短勤務制度」(43.6%)と続く。
しかし「ノー残業デー」は28.4%、「プレミアムフライデー」は9.2%に留まっていることは分かった。これらを実施するには勤務時間内での業務量増加が生じると考えている人も2割程度おり、同社は「労働時間を短縮していく制度は、生産性の向上の議論とセットで検討する必要があろう」としている。