メルセデスF1チームのトップであるトト・ウォルフは、メルセデスがライバルであるフェラーリのエンジン開発を助けたとするバーニー・エクレストンの発言は「まったくばかげた話だ」と退けた。
イタリアのLa Repubblicaのインタビューで、エクレストンがFIAやライバルチームまでもがフェラーリの成功を手助けしたとの主張をし、これが騒ぎを引き起こした。
メルセデスがフェラーリに技術を提供することで、最大のライバルが競争力の高いパワーユニットを作る手助けをし、ハイブリッドエンジン時代における「打ち負かすべき強大なライバル」を作り上げた可能性があるというのが、元F1最高権威者であるエクレストンの見解だ。
レッドブルF1チーム代表のクリスチャン・ホーナーは、この発言について「いつものバーニー流の考え方だ」と評したうえで以下のように語った。
「フェラーリとメルセデスとの間に緊密な結びつきがあることは確かだ。最近では会議の際にも、一方が挙手をするときにはあらかじめ他方の同意を得ている。しかし、もしどちらかが手助けをしていたとしたら驚くね」
一方ウォルフは、今回の発言をよくあるエクレストン流の“手投げ弾”だと称しており、ドイツのBild am Sonntag紙の取材に対して以下のように答えている。
「バーニーは、地球の裏側から手投げ弾を投げてパドックで爆発させることのできる唯一の人間だ。私は彼のお話が大好きだよ!」
「今回のように挑発的な発言をしていた彼を、会議でもう見られないのは寂しいことだ。だが、もちろんそうした発言はまったくのナンセンスだ」
ルノーF1のシリル・アビテブールもまた、エクレストンの発言には信憑性がないとして疑っている。
「この件では多くの憶測が飛び交っていると思う。だがこれは新しい話ではなく、古い話で、根拠もないと考えている」
「メルセデスの動きを細かく見ていればそうしたことが起きていないのはわかるし、我々のいるこの世界では、秘密を保つことは非常に困難なのだ」
「以前、メルセデスとホンダの提携が取りざたされたときには、パドックのスタッフ全員にその話が伝わるまでほんの数日しかかからなかった」
「(今回の話が本当なら)私には驚きだし、仮にそうだったとしたら、両チームはとても上手に秘密を守っていたということだ」
マクラーレン・ホンダのレーシング・ディレクターを務めるエリック・ブーリエは異なる見方を示した。エクレストンのコメントが翻訳される過程で何かが失われたと示唆したのだ。
「私は、イタリア語に訳されたバーニーのインタビュー内容にはコメントできない。彼は自分自身の意見を述べたのだ。そこで言及していたのは、チームにまつわる話についてではないかと思う」
「ときどき、他のチームからスタッフを引き抜くことがある。我々はみな、2、3年前に数人のエンジニアがメルセデスからフェラーリに移った話を聞いたことがある。彼はそのことを引き合いに出したのではないだろうか」