10月26~29日に行われたWRC世界ラリー選手権第12戦ラリーGBで総合3位に入り、シリーズ5連覇を成し遂げたセバスチャン・オジエ(フォード・フィエスタWRC)は、シリーズ5連覇を達成して「息子の誕生した時に次ぐ、強い感情を感じた」と語った。
2016年までフォルクスワーゲンに所属し、シリーズ4連覇を達成したオジエ。しかし、そのフォルクスワーゲンが昨年限りでWRCでの活動を終了した影響で、一時は2017年のシートを喪失してしまう。
シリーズ4連覇中のチャンピオンということもあり、オフシーズン中はシトロエンやヒュンダイといったワークスチームが獲得を目指したが、最終的には最上位クラスで唯一のプライベーター、Mスポーツに加入。ワークスに比べてはるかに少ない予算で戦うチームと2017年シーズンに挑んだ。
そして迎えた開幕戦のラリー・モンテカルロでオジエは優勝。その後も第6戦ポルトガルで優勝したほか、コンスタントにポイントを獲得し、第12戦ラリーGBで5度目の栄光を手にした。
「5回目というのは、ただの数字でしかない」とオジエ。
「もちろん素晴らしい数字であることは確かだ。ただ、5連覇できるなんて想像もしていなかったし、チャンピオンシップをリードできるとも思っていなかった。だから、本当にうれしかった」
「なにより、本当に特別な感情があふれた。最終ステージを走り終えたとき、うまく表現できないけど、今までラリーを戦ってきて感じたことのない強い感情が生まれたんだ。息子が生まれた時ほどではなかったけど、それに次ぐほど強い感情だった」
「どうして、こんな気持ちになったのかは分からないけど、この感情が生まれたこと自体がうれしかった。まだ、ラリーでここまで幸せな気分になれると分かったんだから」
オジエのコドライバーを務めるジュリアン・イングラシアも「Mスポーツ入りは賭けとも言えるものだった」と、激動の1年を振り返る。
「少なくともチャレンジではあったし、僕たちはそれに挑むことにしたんだ。モンテカルロでの勝利は予想していなかったよ」
「そのあとは本当に厳しい戦いを強いられた。不運もあったけど(第8戦)ラリー・フィンランドでは激しいクラッシュもあったしね」
シリーズ5連覇を達成したオジエだが、2018年シーズンの活動については明らかにしていない。以前からワークスからの支援がない限り、Mスポーツに留まることは難しいと公言しているほか、シトロエンが獲得を目指しているとも報じられている。
そんななか、オジエは新たなオファーを受けていることを明らかにした。
「妻と子どもから、家に居るように請われているんだ。どうするかは分からない。もっと考えないといけないからね」
「ただ、前にも言ったとおり、ラリーでここまで幸せな気持ちになれたことがうれしかった。本当に僕のキャリアでここまで感情が高まったことはなかったよ」
「キャリアをスタートさせてから、とにかく前だけを見てきたし、次の目標のことばかり考えてきた。正直、その瞬間瞬間や自分たちの成功を満喫することはなかった」
「ただ、今日だけは違う。今まで感じたことがないほど、楽しかったんだ」