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欅坂46、“黒スーツ”でファン層拡げるか? 「風に吹かれても」MVで見せたギャップ

2017年10月29日 07:02  リアルサウンド

リアルサウンド

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 欅坂46の5thシングル表題曲「風に吹かれても」は、センターに平手友梨奈を据え、彼女が以前から数々のインタビューで口にしている「サイレントマジョリティー」から続く、グループの物語の延長線上にある楽曲であり、それでいてこれまでの楽曲とは一線を画すものである。それを象徴するのが、彼女たちが衣装として着ている黒スーツだ。


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 「風に吹かれても」はMV公開に先駆け、欅坂46がイメージキャラクターを務める「メチャカリ」のCMにて大量オンエアされていた。楽曲と共にメンバーが歌い踊る映像もセットで記憶しているファンも多いだろう。黒スーツに黒ネクタイ、白シャツ。シックな装いに反したメンバーの“笑顔”は、これまでの制服に落ち着き払った表情のMVとは大きなギャップがある。


 ほかのアイドルグループで言えば、℃-ute「FOREVER LOVE」、つばきファクトリー「就活センセーション」などに黒スーツ、NMB48は「Must be now」「僕以外の誰か」の衣装にタイトなパンツスタイルを選んでいる。「今までスカートの衣装だったので、ちょっとフワッとなって踊りがキレイに見えてたりもしたんですけど、スーツの長さが際立つので足までダンスを気をつけないと揃って見えないというのに気づいて。今回、特に足のステップが多いので」、これは『シブヤノオト』(NHK総合)に欅坂46が出演した際の石森虹花のコメント。パンツスタイルは、ダンスの激しさに伴った衣装であるが、MVの引きのシーンでは、メンバーが美しく隊列を変えながら、細かいステップを踏む様子がより綺麗に映える。「サイレントマジョリティー」でダンス経験の少なかった欅坂46に振付師のTAKAHIROは、簡単な動作でダイナミックなダンスを見せる振り付けを与えた。先述した「Must be now」はNMB48のダンス選抜メンバーによる楽曲であるが、黒スーツという衣装は欅坂46がデビューから1年半が経ち、パフォーマンスにおいても成長していることを表したものであるとも言える。


 長身の土生瑞穂や渡邉理佐、クールな印象の強い志田愛佳など、カメラに睨みを利かせ、膝を立て、男勝りな格好で佇む様子はインパクトがあるが、それ以上に鮮烈なのが平手のボブからショートにチェンジしたヘアスタイル、そしてメガネ姿である。さらに驚きだったのが、男性向けファッション誌『STREET JACK』への“メンズモデル”としての起用。雑誌の裏表紙を務めた平手は、誌面で90年代のアメリカを意識したスタイリングで登場。「髪の毛を切ってからは『いつかメンズとしてモデルをやってみたいな』と思っていた」と語る彼女は、「人生初の短さです。今回の楽曲(『風に吹かれても』)で『男の子っぽさを表現したい』って思っていたので切ることに抵抗は全然なくて。『とにかく女の子っぽさは捨てて、男の子っぽくやってください。可愛さはいりません』って言いました」とイメージチェンジを図った理由を明かしている。


 女性アイドルにおける女性人気は、より世間に受け入れられるグループになるために必要不可欠なピースだ。同じ坂道シリーズの乃木坂46然り、NMB48も先日開催したコンサートにて、48グループ初の女性専用席が設けられるなどの動きもある。「風に吹かれても」は、欅坂46にとってさらなるファン層拡大への一手なのかもしれない。(渡辺彰浩)