トップへ

【あなたは何しに?】クリントン元大統領を招待できるザウバーオーナーの金と人脈

2017年10月28日 15:42  AUTOSPORT web

AUTOSPORT web

終始いっしょに行動していたこのヒゲの紳士が、どうやらテトラパック関係者と思われる。
アメリカGP現地情報でも紹介した、ビル・クリントン元大統領のグランプリ来訪。いったい何の目的で、クリントン大統領はやって来たのだろう。

 F1では今年から、各GPを訪問予定のセレブリストが発表されるようになった。アメリカGPでいえばウサイン・ボルトやマイケル・アンドレッティ、ハリウッド俳優のマイケル・ダグラスなどなどがリストアップされていた。ところがクリントン大統領の名前はなし。そこからも、お忍びの来訪だったことが想像される。
 筆者はたまたまパドックのゲート前を通りかかった際に、黒塗りのリムジンが停まっているのに気付いて遭遇できた。周りには数人のカメラマンがいたのみで、彼らも生クリントンがこちらに歩いてくるのにびっくりしていた。

 引退しているとはいえ数人のSPにがっちりガードされ、さらに支持者と思われる何人ものオジサンたちに囲まれているクリントンに、「何しにF1に来たんですか~」と話しかける雰囲気ではない。仕方なく後ろを歩いて行くと、何と一行はザウバーのホスピタリティに向かい、そのまま入って行った。

 クリントンとザウバー。アメリカのかつての最高権力者と、スイスの弱小(失礼!)F1チームとでは、およそ想像できない組み合わせである。そこでチーム広報やフレッド・バスール代表やらに訊いてみたのだが、「チームとして招待したら、喜んで来てくれた」としか答えてくれない。

 ところがマーカス・エリクソンのマネジャーで、全日本F3000でも活躍したエイエ・エルグが、「スウェーデン絡みだよ」と教えてくれた。

 ザウバーは昨年、スイスの金融グループが完全買収した。しかし実際には、スウェーデンの世界的食品容器製造企業「テトラパック」が、実質的なオーナーであることは周知の事実である。

 実はクリントン一家が主催する慈善団体「クリントン財団」は、世界中の企業から数百万ドル単位の寄付を受けている。そしてテトラパックも、その中のリストに入っている。具体的な寄付金額は不明だが、彼らの招待に喜んで駆けつけるほどの額を受け取っているということなのだろう。

 ちなみにクリントン財団に多額の寄付をした企業の中には、ヒラリー・クリントンが国務長官を務めていた時代に国務省から有利な取り計らいを受けた献金疑惑が、明るみになったこともあった。しかしその中に、テトラパックの名前はとりあえずは入っていない。