いよいよ2017年も、WTCC世界ツーリングカー選手権がツインリンクもてぎにやってくる。今年で3回目となるもてぎでの開催だが、今年は今までとは違うレースとなりそうだ。というのも、10月23日に日本列島に上陸した台風21号の影響もあり、前ラウンドの舞台であった中国から、WTCCマシンを含む資材の到着が遅れてしまったのだ。
WTCC関係者やロジスティクスパートナーの努力により、なんとかもてぎにWTCCマシンたちが到着することになったが、これによりタイムスケジュールに変更が加えられた。本来予選が行われる予定だった10月28日(土)はフリープラクティス1が行われるものの、走行はそれだけ。あとはすべて10月29日(日)に開催されることになった。
自然の脅威には逆らうことはできないのだが、このスケジュール変更は大いにプラスにとらえたい。それというのも、28日(土)はもしパドックパスがあれば、比較的多くドライバーとも接することができるはずだし、29日(日)は一日で予選アタック、さらにWTCCならではのMAC3、そしてレースがふたつ(オープニングレース/メインレース)楽しむことができるのだ。
ただし、レースを戦う側からすると困難も多い。本来であれば金曜からじっくりとマシンを作り上げることができるが、今回は土曜のフリープラクティス1でマシンを作ってしまったら、日曜のスケジュールのなかで大がかりな変更を行うことは難しい。さらに、もしトラブルやアクシデントに遭ってしまった場合、対処するのは時間との戦い。チームスタッフも、通常のオープニングレース/メインレースの間以上にスキルが要求されるかもしれない。
そんなスケジュールのなかで、重要になるのは経験かもしれない。レギュラーメンバーで、何年もWTCCに参戦してもてぎも3年連続というドライバーなら、素早い対処も可能だろう。また、地元戦で期待がかかる道上龍(ホンダ・シビックWTCC)も15年もてぎで戦ってきた実績がある。ただ道上にとって一抹の不安は、ふだん使っているシビックではなく「さまざまな事情があって僕のマシンは来ないということ(公式Facebookページより)」と、代わりのマシンをドライブしなければならないことだろう。どうやらグリッド降格がありそうだが、上位を狙ったがゆえの変更のようで、吉と出ることを期待したいところだが。
スケジュール変更等があるなかではあるが、WTCCを運営するユーロスポーツ・イベント、そしてドライバーたちも「日本のレースを楽しみにしている」というコメントが聞かれている。
「日本に戻ることができて気分がいいよ。ここはレースをするには最高の雰囲気があるからね(テッド・ビョーク/ボルボ)」
「日本には5年住んでいたし、家に帰る気分だよ。もてぎはオーバーテイクにはベストなコースだ。それに日本ではいつもパワーを感じることができるし、それはファンからも同様だ(トム・コロネル/シボレー)」
WTCCドライバーたちは、勝利を狙うことはもちろんだが、“魅せる”こと、そして“楽しませるレース”を行うことに関しては世界一だ。変則スケジュールのもてぎだが、その根本が変わらない限り、今年もツインリンクもてぎでのWTCCが楽しみな週末なのは間違いない。