メキシコGPはアメリカGPから2週連続での開催となっているため、木曜日のパドックで行われたさまざま会見の多くが、アメリカGPでのマックス・フェルスタッペンに科された処分について論議された。
木曜日のFIA会見に呼ばれたフェルスタッペンはレース直後に語った「あそこにいる、たった一人の馬鹿なスチュワードが僕に不利な裁定を下している」と発言したことについて、「少し違う言葉を使用すべきだったとは思う」と反省したものの、謝罪は一切行わなかった。
「いろんな考え方があり、スチュワードの決定は受け入れるが、僕はいまでもあの決定は正しくないと思っている」
フェルスタッペンが「いまでもあの決定は正しくない」と思う根拠は、主に次の2点だ。ひとつはコースリミットを守っていなかったのは自分だけではないという思い込みだ。
「僕がショートカットしたターン19だけでなく、ターン8と9、それからターン6だって、みんなコース外を走っていたじゃないか。僕だけが罰せられるなんて、そんなおかしいよ!!」
ふたつめは「ショートカットしたのは、ターン19の直前にブレーキングでキミ(・ライコネン)がインを閉めたため、追突を回避するためだった」という主張だ。
だが、その2時間後に緊急会見を開いたFIAのレースディレクターを務めるチャーリー・ホワイティングは、フェルスタッペンの批判は「的外れだ」と、あらためてアメリカGPでレーススチュワードが下した裁定は正しかったと主張した。
「コースを離れること自体は違反ではないが、コースオフしてアドバンテージを得ることが問題なのだ。ダニエル(・リカルド)もアメリカGPのレースでターン1でバルテリ(・ボッタス)をオーバーテイクしようとしてコース外に出たが、少し失速していたから、審議しなかった」
「マックス(・フェルスタッペン)が言うように、レース中にこういった事例はたくさん起きているが、われわれが注視しているのはアドバンテージを得たかどうかで、マックス(・フェルスタッペン)の場合は明らかにスチュワードが介入する必要があった」
ライコネンとの追突を回避するためにイン側をショートカットしたという主張に対しても、ホワイティングは同意しかねると突っぱねた。
「彼はブレーキングで進路を変えた後、加速して抜いていった」
表彰台を奪われたフェルスタッペンの気持ちは察するに余りある。しかし、だからといって違反を見逃していたら、スポーツは成り立たない。結果的に違反となったフェルスタッペンのトライを非難しているのではない。
注目されているのは、処分を受けた後の態度だ。もし、フェルスタッペンが今後、チャンピオンを目指すのなら、コース上の技術だけでなく、コース外の対応もしっかりと向上させるべきだろう。