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ガッキー旋風はいつまで続く? ドラマでのヒット連発に続いて『ミックス。』で映画界も制覇!

2017年10月26日 17:32  リアルサウンド

リアルサウンド

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 2016年10月期の『逃げるは恥だが役に立つ』、2017年7月期の『コード・ブルー~ドクターヘリ緊急救命~THE THIRD SEASON』と、出演した民放の連続ドラマが2作続けて好視聴率を記録している新垣結衣が、今度は映画の動員ランキングでもトップに輝いた。10月21日土曜日に公開された『ミックス。』は、土日2日間で動員18万人、興収2億3500万円で初登場1位。新垣結衣が古沢良太脚本作品に出演するのは、2014年11月に放送されたドラマ『リーガルハイ・スペシャル』以来となる。ちなみに今回の『ミックス。』と同じ脚本・古沢良太、監督・石川淳一、製作・フジテレビ、配給・東宝という座組での作品は2015年4月公開の『エイプリルフールズ』以来。原作なしのオリジナル作品、オールスター・キャスト、テレビ的であることにわりきったコメディ演出と、『ミックス。』との共通点も多い『エイプリルフールズ』の初週週末成績は動員11万6407人、興収1億6038万5200円、初登場3位。春休み公開作だった同作に対して、興収が落ち込みがちな10月公開作という逆境も跳ね除けて、『ミックス。』は実にその約1.5倍の初動成績を残したことになる。


参考:新垣結衣、女優としてもチームを引っぱる存在へ 『コード・ブルー』9年間の成長を振り返る


 それが「ガッキー効果」であることに、異論を挟む余地はないだろう。昨今、役者のパワーがそのまま動員につながる作品が減ってきている中で、新垣結衣は数少ない「マネー・メイキング・スター」であることを証明した。もっとも、新垣結衣は今からちょうど10年前、まだ10代の頃、映画出演作としてはまだ3作目だった『恋空』(2007年11月公開)で、主演女優として最終興収39億という記録を残している。その後も、2010年8月公開の『ハナミズキ』が最終興収28億3000万の大ヒット。新垣結衣の主演作(ダブル主演作も含む)で週間動員ランキングで1位となるのは、その2作品に続いて今回の『ミックス。』が3作目だ。主演作や出演作が必ずしもすべてヒットしてきたわけではないが、企画がうまくハマった作品では、映画界でも10年にわたって継続的に結果を出してきた女優なのだ。


 ただ、特に昨年の『逃げるは恥だが役に立つ』以降は、テレビにおいても、映画においても、「置きにいった」作品への出演が続いている印象がある。2008年から続いているシリーズものにして、主演作ではない『コード・ブルー~ドクターヘリ緊急救命~THE THIRD SEASON』。2012年から続いている『リーガル・ハイ』シリーズで気心の知れているスタッフに囲まれた、今回の『ミックス。』。来年以降の出演作も、今のところ発表されているのは映画版『コード・ブルー~ドクターヘリ緊急救命~』だけだ。


 「勝ち続けているあいだは布陣やシステムを変えない」というのはスポーツにおける鉄則の一つ。2017年の新垣結衣は、まさにその鉄則にのっとった活動を続けてきた。これまで好感度ランキング上位のタレントの中には、CM出演契約料に直結するそのランクを維持するために、低視聴率を出すと矢面に立たされる民放の連続ドラマ出演をリスクと見なし、CMばかりに出演しているタレントも少なくなかった。そういう意味では、とりあえずテレビドラマでも映画でも出演作品を途絶えさせていない、そして番宣や映画宣伝のためにバラエティ番組にも積極的に出演し続けている新垣結衣は、「リングに上がり続けている」ことだけでも評価に値するだろう。


 来年は30代に突入する新垣結衣。テレビドラマ、映画、どちらでもいいので、そろそろ年齢相応の大人の女性を演じきった恋愛ものを見てみたいというのは、個人的な願望としてだけでなく、今後、女優として息の長いキャリアを築いていく上でも必要な気がするのだが、今回の『ミックス。』のヒットで「コメディエンヌとしての新垣結衣」というイメージはさらに強化されることとなった。今のところ、ガッキーの「勝利の方程式」が崩れる気配はない。 (宇野維正)