2017年シーズン、ブランパンGTシリーズ・エンデュランスカップやイタリアGT選手権に参戦したブノワ・トレルイエは、2018年に向けてWECのLMP1クラスやGTレース、ラリークロスなど、さまざまなカテゴリーでの活動を検討している。
2016年末にアウディがWECでの活動終了に伴い、シートを失ったトレルイエ。しかし、2017年はブランパンGTではアウディ・クラブ・チームWRTに、イタリアGTではアウディスポーツ・イタリアでアウディR8 LMS GT3をドライブし、アウディファミリーの一翼を担ってきた。
しかし、トレルイエにとって初めて挑むシリーズということもあり、どちらも思うような結果を残せず。イタリアGTではイモラでの第5大会レース2で優勝したがランキング9位でシーズンを終えている。
「イタリアGTに参戦すると決めたとき、レースが開催されるサーキットのうち、僕が走ったことがあったのはモンツァだけだった」とトレルイエ。
「そのほかのイモラやミサノといったサーキットは走ったことがなかったからチャレンジングだった。シミュレーターやオンボード映像で予習して臨んだけど、それでもGT3カーのスペシャリストに挑むのは簡単ではなかったよ」
「シーズン序盤にはプッシュしすぎてミスも犯してしまった。ただ、すぐにドライビングを修正できたし、シーズン終盤の勝利で努力が報われたよ」
ブランパンGTエンデュランスではナタナエル・バセロン、ステファン・リケルミとタッグを組んだが、不運も重なりポイント圏内でフィニッシュしたのは最終戦の1回のみ。ランキングも28位だった。
トレルイエは「これまでモータースポーツに運は関係ないと思ってきたし、今も考えは変わっていない。ただ、もし運が勝敗を分けるのだとすれば、今年はまったく恵まれなかった」とデビューイヤーを振り返る。
「本当に多くの問題が起きたんだ。例えば(エンデュランス初戦の)モンツァではABSをオンにし忘れたライバル車にナタナエルが激突された。その影響でマシンが以前の状態と変わってしまい、絶対的な自信を持つことができなくなってしまったよ」
「初めて遭遇するシチュエーションだったし、冷静さを失う場面があったのも事実だ。ただ、本当の意味で優秀なドライバーは速さだけじゃなく、チームの士気も高める能力も必要なんだ。その面では、いい雰囲気を作り出せたと思うよ」
「来年も継続して参戦するとなれば、序盤からパフォーマンスを発揮できると思う。今年のミスから多くのことを学んだし、正しい方向に進み始めているからね。今年は3人にとって学習の1年だったけど、それも終わりだ」
2017年シーズンを振り返ったトレルイエは、具体的な活動先については未定としたものの、2018年も継続参戦するべきとの考えを明かした。
また、WECのLMP1クラスをはじめラリークロスやラリーレイドなど、さまざまなカテゴリーでの活動に向けて交渉中であるとし、引き続きアウディファミリーに留まる意向も示している。
「ようやく風向きが変わり始めたのに、ここで立ち止まるなんて間違っていると思うんだ。イタリアGTでは表彰台を獲得したし、ブランパンGTでもマシンに満足できない状況でトップ10入りを果たした」
「この1年で僕たちは確実に強くなった。反撃の準備は整っているよ」
なお、トレルイエは2018年シーズン開幕に先立ち、12月に開幕する氷上レース『アンドロス・トロフィー』に今年も参戦することも発表した。