10月26~29日に行われるWRC世界ラリー選手権第12戦ラリーGBに向け、参戦するドライバーたちが意気込みを語った。
ラリーGBは1932年に初開催された伝統あるイベントで、1960年からは現在の森の中を抜けるステージ構成が採用されている。
設定されるステージ自体の難度は高くないものの、雨が降ると路面が泥状になりハンドリングが悪化。ドライバーやマシンを苦しめる。
また天候によっては霧や凍結した路面にも対処しなくてはならないほか、レギュレーション上、路面が凍結していてもスタッド付きタイヤを使用できない点も試練となる。
競技は26日(木)にシェイクダウンとセレモニアルスタートを経て、現地19時からSS1がスタート。
翌27日(金)はSS2~SS7までの6SSが行われ、28日(土)はSS8~16の9SSが開催される。なお、SS15~16は現地19時前後にスタートするナイトステージだ。
最終日の29日はSS17~21の5SS。これまでと同様、最終ステージのSS21はステージトップ5にボーナスポイントが与えられるパワーステージとしての実施となる。
最上位クラスに参戦している4メーカーのうち、ヒュンダイ陣営は4台体制で参戦。ヘイデン・パッドンとティエリー・ヌービル、ダニ・ソルドに加え、アンドレアス・ミケルセンを起用する。
そのほかのMスポーツとシトロエン、トヨタ陣営は3台体制を継続。なお、シトロエンはステファン・ルフェーブルに代わり、カリッド・アル-カシミを起用している。
ポイントランキングではセバスチャン・オジエ(フォード・フィエスタWRC)が198点でトップを独走。シリーズ5連覇に王手をかけている。そのオジエは目下、ラリーGB4連勝中で、今年も総合優勝を飾れば、85年に及ぶラリーGBの歴史のなかで初の快挙となる。
一方、オット・タナク(フォード・フィエスタWRC)とティエリー・ヌービル(ヒュンダイi20クーペWRC)のランキング2位争いは1点差となっているほか、タナクと38点差のランキング4位にはヤリ-マティ・ラトバラ(トヨタ・ヤリスWRC)が続いている状況だ。
チームランキングはMスポーツが358点で独走。ヒュンダイが275点で続き、トヨタが225点で追いかける展開となっている。
Mスポーツ/ヒュンダイ陣営のコメントはこちら
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■Mスポーツ
●セバスチャン・オジエ(フォード・フィエスタWRC)
「このイベントはモータースポーツの歴史そのものと言えるし、ラリーGBは年間カレンダーのなかでもっとも象徴的なイベントのひとつと言える。誰もが勝ちたいと思っているし、もちろん僕らも優勝争いに加わりたい」
「年間を通してもっともチャレンジングなラリーのひとつで、森を通り抜ける際のグリップレベルを判断する能力は、もはや芸術の域に達していると表現してもいい。グリップを感じるには、文字通り時間がかかるイベントでもある」
「ただ、僕はラリーGBのステージに馴染みを感じていると言えるよ」
「間違いなく、今回のラリーはチームにとって特別なイベントになるだろう。計算上は、僕たちがドライバーズチャンピオンシップを制するチャンスもあるからね」
「だけど、その点については考えすぎないようにしている。ラリーを楽しむことと、ベストパフォーマンスを発揮することだけに集中しなくてはならない」
●オット・タナク(フォード・フィエスタWRC)
「ラリーGBはあらゆる意味でクラシックなイベントだ。一日一日が長く、コンディションは予測不可能だからね。だけど、それがラリーという競技だし、それこそがラリーGBを年間カレンダーで最大のチャレンジにしている。ウェールズでしっかりと結果を残したとき、仕事をこなしたと言えるんだ」
「ウェールズでのラリーに挑むのは今回で7回目だけど、そのうち6回は最上位クラスの(フォード・)フィエスタで参戦した。ここではいい経験をしてきたよ。ステージは高速で流れるように走ることができ、本当に楽しめる」
「(午後に)SSを再走するとき、路面は“磨かれていて”とても滑りやすくなる。ただ繰り返しになるけど、こういったチャレンジがラリーGBをを特別なものにするんだ」
「間違いなく、チームにとってとても重要な週末になる。僕らは今にも本当に素晴らしい結果を手にしようとしているから、それを確実に手にできるよう最大限の努力をするつもりだ。もし、この週末を勝利で締めくくれたら、さらにいいね!」
●エルフィン・エバンス(フォード・フィエスタWRC)
「ホームラリーは特別なものだし、今年のラリーGBは一層クラシカルなイベントになっている。象徴的なステージに天候、ナイトステージ、1日の競技時間も長い。今年挑んできたもののすべてが詰まっているから、楽しみながら挑戦できるだろう」
「ラリーに挑むのが楽しみだし、このヒストリカルなイベントでチームのために仕事をこなしたくてたまらないよ」
「SSを走りながら、ウェールズのファンに会うのは素晴らしいことだよ。彼らの声援が特別なものを与えてくれることは間違いない」
「僕たちのマシンパッケージにコンディションがマッチするか、様子を見なくてはならないけど、シーズンが終わる前にいい成績を残したいから、今週末は僕たちのすべてを捧げるつもりだよ」
■ヒュンダイ/ヒュンダイ・モータースポーツ
●ヘイデン・パッドン(ヒュンダイi20クーペWRC)
「ウェールズ・ラリーGBはドライブする上で多くのチャレンジがある、象徴的なラリーだ。このラリーはいつもシーズン終盤に開催されるから、雨や霧のかかったコンディションが予想される」
「いろいろな意味で、母国のニュージーランドに戻った感じがするんだ。とても素晴らしい高速ステージがあるし、楽しめるラリーだよ。良い結果を出して、タフなシーズンにポジティブな成果を積み上げられることを願っているよ」
●ティエリー・ヌービル(ヒュンダイi20クーペWRC)
「スペインでは多少手厳しいダメージを負ったが、ウェールズで反撃に出る用意はできている。カレンダーのなかでもユニークなイベントだ。気象条件がパフォーマンスや自信のあるなしを決定づけてしまう」
「もし雨で風が強く、路面がぬかるんでいたら、信じられないくらい滑りやすいステージになる。疑いなしに厳しいイベントだけど楽しめるラリーなんだ」
「何度か表彰台を獲得したことがあるし、幻想的な雰囲気に魅了されるよ。森の中のステージを高速で、時には真っ暗な状況でドライブするのは、信じられないくらい素晴らしい経験だよ。チャンピオンシップの最後の最後までプッシュし続けるつもりだ」
●アンドレアス・ミケルセン(ヒュンダイi20クーペWRC)
「ヒュンダイ・モータースポーツとヒュンダイi20クーペWRCとともにラリーの経験を積み重ねられるのは素晴らしいことだ。ラリー・スペインでは、本当に貴重でためになる経験をした。ウェールズ・ラリーGBは、17歳のときに初めて出場したWRCのイベントだから、個人的にはつねに特別なイベントなんだ」
「このラリーのことはよくわかっているし、難所も知り尽くしている。どこかの時点で雨が降ると考えて間違いないだろうし、そうなるととても路面が滑りやすくなる」
「それでも、概ねとてもやりがいのある楽しめるラリーだよ。楽しみにしているし、先頭集団で戦えることを願っている」
●ダニ・ソルド(ヒュンダイi20クーペWRC)
「ウェールズ・ラリーGBはほとんどのクルーが待ちかねている楽しいイベントだよ。グラベルステージと厳しい天候条件、高速走行の組み合わせによってスリル満点のラリーになるんだ」
「もちろん(路面が)ぬかるんでいると、滑りやすくなる。だからアグレッシブにステージへ取り組めるように、コクピットでは自信を持つ必要がある。森の中の環境と狭いセクションのせいで難しさもあるけど、それがとても楽しいんだ」
「ポジティブな結果で今年を終えることを心に決めている。ラリー・スペインでは、表彰台を獲得できるところだったのに逃してしまったから、ウェールズで挽回したいね」
■シトロエン/シトロエン・レーシング
●カリッド・アル-カシミ(シトロエンC3 WRC)
「前回ウェールズ・ラリーGBに出場したのは2010年なんだ。だから、僕にとってはまったく新しい挑戦になる。このラリーがどんなに難しいかわかっている。特に天気がステージをひどく(路面を)ぬかるむ状態にしてしまうことがあるからね」
「ウェールズに行く前、1日のテストに参加する予定だ。C3 WRCのセットアップを僕のドライビングスタイルに合わせられるよう、チームの経験を頼りにしている」
●クレイグ・ブリーン(シトロエンC3 WRC)
「イギリス・ラリー選手権やWRCへ出場しているから、このイベントのことはよくわかっていると思う。ここには良い思い出がたくさんある。ハイライトはジュニアWRCタイトルを獲得したときだ。2011年のことで、一層特別だったのは、その時の僕のコドライバーのガレス・ロバーツがウェールズ出身だったことだ」
「直近のラリーを欠場してから、シーズン最後の2ラウンドでC3 WRCに戻れてうれしいよ。コンディションがランキングに影響することを考えると、特定の目標を設定するのはとても難しい」
「でも、これまで6度も5位でフィニッシュしたから、もう少し上を狙いたいね!」
●クリス・ミーク(シトロエンC3 WRC)
「ウェールズ・ラリーGBは僕にとって、とても特別なイベントだ。ほぼ20年前に、初めてのラリーをここで戦ったんだ! だから一番よく知っているイベントだし、ここの路面は僕と相性がいい」
「ラリー・スペインでの優勝はチーム全体の士気を素晴らしく高めることになった。だからといって、このイベントで何かが保証されるわけではない。ウェールズの森の中でどの程度のパフォーマンスレベルを出せるか様子を見ることになる」
「間違いなく、多くのことが天候に左右される。もし雨が降るとなると、金曜日に9番手で出走することはハンデになる。いずれにせよ、僕のやる気は十分だ。シトロエンのためにまた良い結果を出すため、できることはすべてやるつもりだ」
■トヨタ/TOYOTA GAZOO Racing WRT
●ヤリ-マティ・ラトバラ(トヨタ・ヤリスWRC)
「イギリスは私がラリードライバーとしてのキャリアをスタートした場所で、ラリーGBは初めて出場したWRCイベントだ。だから、イギリスは第2の故郷のように感じるよ」
「ラリーGBには、メイヘリンやディフナントなど素晴らしい歴史的なSSがあり、とても楽しみだね。最近のラリーではクルマにいくつか技術的な問題が生じたが、チームはすでにそれらを完全に解決済みであると確信している」
「今季残る2戦で良い結果を残して、この素晴らしいシーズンを終えられることを願っている」
「シーズン序盤の数戦は手強いラリーだったが、シーズン終盤のラリーよりもクルマに対しては幾分優しかったのではないかと思う。今年はチームにとって参戦初年度であり、我々はまだつねに多くのことを学んでいる」
●ユホ・ハンニネン(トヨタ・ヤリスWRC)
「ラリー・スペインで自分たちが成し遂げた結果に満足しているので、自信を持ってラリーGBに臨むことができる」
「自分にとっては今年最後のラリーとなるため、とにかく楽しんで走りたいね。最後にラリーGBへ出場したのは2014年だけど、幸いにも大部分のSSは以前と変わっていないんだ」
「ウェールズでの実戦経験は充分とはいえないけど、ずっと好きだったラリーだから、いい戦いができればと思う」
「特別なプランはないけど、これまでうまくいった時のように、SSごとにペースを上げていくつもりだよ」
●エサペッカ・ラッピ(トヨタ・ヤリスWRC)
「事前のテストはうまく行った。しかし天気はとても奇妙で、冬用のジャケットと帽子を持って行ったけど、ホテルを出ると気温は22度もあったよ」
「ラリーGBのSSは雨で湿り泥に覆われていることが多いけど、それでも自分たちが行ったテストはきっと役に立つはずだ。濃い霧が出ると一気に難易度が上がるので、そうならないといいけどね」
「テストではサスペンションのセッティングを少し変え、それ以外にも、ラリー・スペインで得た教訓に基づく改良をいくつか施した。その結果、大きな進化を果たすことができたと思う」
「ラリーGBに対しては基本的にいいフィーリングを持っているから、SSを走るのが楽しみだよ。そして、最終的によい結果でフィニッシュできればと思う」