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【今宮純のキャッチポイント】F1メキシコGPはPUの優劣が露わになる“低速テクニカルコース”

2017年10月25日 17:52  AUTOSPORT web

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F1メキシコGPでルイス・ハミルトンのチャンピオン決定の可能性
全20グランプリ中、4番目の“低速テクニカルコース”
空気密度が20%以上も少なく、パワーユニットの優劣が露わになる 
 まずアメリカGPでメルセデスが、決めるべくしてコンストラクターズを決めた。2014年からのパワーユニット・シーズン4に17戦11勝、通算では76戦62勝、前代未聞の4連覇達成だ。

 ルイス・ハミルトン対セバスチャン・ベッテルのタイトルマッチは“66点差”でメキシコ決戦・第2ラウンドへ。あと9点差に広げれば、4冠新王ハミルトンが戴冠となる。

 ベッテルはもう覚悟しているはずだ。アメリカGPで食い下がっていったような戦い、とことん攻め続けるレーシング魂を貫くこと。たとえ敗れようとも敗者の美学(プライド)を貫きとおすこと、それはフェラーリにも言える。

 メキシコにおいてもマシンとパワーユニット現状戦力でメルセデスとハミルトンが優勢であるのは否めない。サーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)では、彼らのダイナミック・ダウンフォースが勝っているのがセクター1と3で明らかだった。

 これはコーナーが8あるメキシコのセクター2、低中速エリアでアドバンテージになる。高地2200m以上に存在するここではパワーユニット・ターボ特性などの優劣も露わになる。メインストレートは1200m、昨年のF1最高速372.5km/hはウイリアムズのバルテリ・ボッタス(メルセデス製パワーユニット)がここでマーク。15年にも366.4km/hが記録されていて、年間最高スピードが出されるメキシコなのだ。

 今年はやや低まるだろうがこのコースのアイコンでもあるエリア、セクター3の超低速“スタジアム”では速まり、接近バトルチャンスが見られそう。オーバーテイク回数は多くなくてもその迫真性、攻守性が熱狂的なメキシカンをあおる。

 復活3年目、先日この地は大地震災害に見舞われた。それでも昨年の33万人並みか、それ以上の観客が予想されている。COTAでの3日間が主催者によってショーアップされたように、ここでは観客参加型によるスポーツエンターテインメントが見られるに違いない。終わろうとしている今シーズン、より熱く、猛々しいフィナーレが待っている。

今宮純が厳選するF1メキシコGP、6つのキャッチポイント

■キャッチポイント1
高地だけに空気密度が20%以上も少ない。現地での実感を言うなら、ちょっとコースサイドを小走りしただけでも息苦しくなる。その影響によって、マシン&パワーユニットの空力効率や冷却性が微妙に難しくなる。3年目のノウハウを基に設定基準をフリー走行でいつもより徹底確認、たとえばブレーキなど……。

■キャッチポイント2

日本で想像されるよりも母国セルジオ・ペレスへの期待度は大きい。かつてのブラジルのアイルトン・セナに近いくらいか。15年予選9位/決勝8位、16年予選12位/決勝10位。フォース・インディアとしては、またここでもペレス対エステバン・オコンになった時、地元の雄に“自由度”を与えるか。日本とアメリカでは若いオコンに譲った感もあるペレス、そうはしないと……。

■キャッチポイント3
一見すると高速タイプに見えるが、平均速度は高くない。昨年のポールポジション、ハミルトンのタイムは1分18秒704、平均速度は196.869km/h。モナコ、ハンガリー、ハンガリーGPに次ぐ4番目の“低速テクニカルコース”なのだ。


■キャッチポイント4
高地にあるここは気温が低くても晴れると、路面温度差がかなり高まる傾向だ。3スペックのドライタイヤを吟味するには、データ依存だけでなく実走して慎重に確認することが必要。今季、後半戦ではベルギーGPから6戦で雨がらみセッションが続いてきた。ここは雨天が少ないが、万一どこかでそうなったら、7戦連続の“珍記録?”

■キャッチポイント5
コース外で特にドライバーが注意すること。体調管理面で飲食は“安全第一”、過去には某日本人ドライバー複数が×××……(自分も少しばかり)。このところオコンがマレーシアやアメリカで胃腸がおかしくなったとか。メカニックやスタッフも現地での外食には気をつかう。

■キャッチポイント6

マクラーレン・ホンダのベストリザルトは昨年のジェンソン・バトンの12位。「最も厳しいメキシコ」と事前からチームも認めて臨み、なんとか2台完走はなった。ここからあと3レース、最後の切磋琢磨を期待したい。