人気写真家 テリー・リチャードソン(Terry Richardson)が、ファッション業界追放の危機にさらされている。VogueやGQを発行する大手出版社コンデナスト・インターナショナルをはじめ、「ヴァレンティノ(VALENTINO)」や「ブルガリ(BVLGARI)」など複数のブランドが、リチャードソンの度重なるセクハラ疑惑を理由に今後仕事を依頼しない方針だと複数の海外メディアが報じている。
テリー・リチャードソンは、「アメリカンアパレル(American Apparel)」の広告などモデルの過激な露出やセクシュアルな作風で知られる。これまで幾度にわたってモデルによるリチャードソンのセクハラが告発されてきたが、それでも「ヴァレンティノ」や「サマンサタバサ(Samantha Thavasa)」「モンクレール(MONCLER)」など仕事をオファーするブランドや雑誌は絶えなかった。
しかし、業界のリチャードソンへの評価は大物映画プロデューサー ハーヴェイ・ワインスタインの長年にわたるセクハラ行為が世界的に大きなニュースとなったことで一転。英メディア「The Telegraph」が入手した、コンデナストCOO兼エグゼクティブバイスプレジデントのジェームス・ウールハウス(James Woolhouse)が関係者向けに送った「(今後リチャードソンによる作品は)抹消するか他の作品に差し替える必要がある」という内容のメールがリークするや否や、継続的に広告撮影を依頼してきた複数のブランドはリチャードソンとの関係解消に踏み切ったという。
リチャードソンのスポークスパーソンはTIMEをはじめとする海外メディアの取材に対し「テリーはメールの件について、非常に残念に思っている。今回取り上げられた話はすでに過去に説明している。彼はセクシュアルな描写の作品で知られているアーティストのため、自然と被写体とのプロフェッショナルな場での触れ合いの多くも同様にセクシュアルなものだった。しかし、彼の作品の被写体となった全ての人は合意のもと参加していた」と声明を発表している。
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