F1はストリーミングメディア企業のNetflixと、2018年以降の提携に関する話し合いを開始しており、変化の兆しはここにも現れている。
リード・ヘイスティングスが1997年に設立し、DVD販売とレンタルビジネスからスタートしたNetflixは、絶大な人気を博すビデオ・オンデマンド・サービスとコンテンツ製作事業を展開するようになった。
F1がデジタル分野に進出するにあたり、Netflixとの提携は今後の放映および配信のあり方を大変革することになるだろう。F1の商業担当取締役であるショーン・ブラッチスは、以下のように語っている。
「リバティ・メディアはマルチメディアサービスの拡大に常に焦点を置いている。今日の世界ではインターネットに対して一層オープンであることが不可欠であり、複数のプロジェクトが進行中だ」
「我々がやろうとしていることは、グランプリの週末以外でのコンテンツ製作だ。これはデジタルでも、リニア放送でもほとんど作られていない」
「目的は世界中のNetflixやAmazonと関わりを持ち、ファンが楽しめるコンテンツを作り出すことだ。それによってF1で何が起きているかに関する、これまでとは違うストーリーを紡ぎ出し、伝えることになるだろう」
「我々はNetflixと2018年からの提携について協議しているが、現時点ではこれ以上話すことはできない」
F1は米国でESPNとの新たな契約を締結したばかりであり、Netflixがハイライトシーンや特集コンテンツを越える内容を配信するとは考えにくい。
しかしF1はデジタル戦略を強化しており、ブラッチスは2018年中のライブストリーミングサービスの構築もほのめかしている。とはいえ、現状のテレビ放映権の侵害を防ぐため、特定の市場では限られたサービスになる可能性がある。
「率直に言うと、ファンが求めるのならば、どのような手段であれコンテンツにアクセスできるようにする義務がある」とブラッチスは話し、以下のように続けた。
「それを追求しないでいるのは職務怠慢であると考えている。我々の目的はファンと繋がり、レースのライブ配信やアーカイブ、データのいずれであろうと、我々の資産を活用するための基盤を消費者の領域に直に構築することだ」
イギリスではSkyが複数年にわたるF1放映権を持っているため、ストリーミングサービスが始まるとは考えにくい。
「契約の細部について話をすることは控えたいが、概して我々のデジタル市場の開拓は従来のような契約ではなく、予想外のものになるだろう。従来の契約には、デジタル市場を開拓しようという観点が、そもそも存在しなかったのだ」