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【F1アメリカGP無線レビュー】ポイント争いしていたアロンソの嘆き「信じられない。あぁ……」

2017年10月25日 12:52  AUTOSPORT web

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F1アメリカGP フェルナンド・アロンソ(マクラーレン・ホンダ)
ポイント獲得は確実だったはずのF1アメリカGPで、マクラーレン・ホンダはまたしてもノーポイントに終わってしまった。 

 予選後のMGU-Hダメージ進行が予想以上だったため安全を見越してパワーユニット交換を決めたストフェル・バンドーンは、最後尾グリッドからの追い上げを強いられたが序盤のうちに下位勢を抜き4周目にはマーカス・エリクソンをパスして15位まで挽回した。

マクラーレン(以下、MCL)「まさに言っていた通りの走りだ、ブリリアントジョブだ! 前のSTR(トロロッソ)はプライムタイヤだ」

 ランス・ストロールのペースは速くないが、ストレートが速いため追い抜きは容易ではない。マクラーレンは早めのピットストップでクリーンエアになって本来のペースで走ることも視野に入れていた。

MCL「STRをオーバーテイクできると思う? それともピットインしてジャンプする必要がある?」

バンドーン(以下、VAN)「分からないよ。もう1回やってみさせてくれ」

MCL「了解、すごく接戦だ、ファイトし続けろ」

 そしてバンドーンは8周目にストロールをオーバーテイクすることに成功した。ウイングを立てているため単独走行ではストレート後半の伸びはないが、低速からの立ち上がりとストレート前半はライバルと比べても見劣りはしない。そこで1秒以内につけDRSを使えば、ストレート後半でも戦うことができるというわけだ。

MCL「グレートジョブ、ストフェル!」

 一方、8番グリッドからスタートしたフェルナンド・アロンソは7番手に浮上してカルロス・サインツJr.を抑え、12周目にピットインしたセルジオ・ペレスのアンダーカットに対抗するため全開で走っていた。

MCL「100%ペース」

アロンソ(以下、ALO)「4輪ともデグラデーションが進んでいる。でもまだマネージメント可能だ」

 14周目、ピットインで背後に来たダニエル・リカルドを避けるようにピットに飛び込んだ。

MCL「後ろはRIC(リカルド)、彼にタイムロスしたくない。100%、100%ペース。この周ピットインしろ」

 これでペレスの前でコースに戻り、エステバン・オコン、アロンソ、ペレスの順になる。チームからは背後に迫りつつあるペレスとのギャップが逐次伝えられるが、アロンソはやや苛立ちを見せる。


ALO「ギャップは見れば分かる。それよりも僕が知りたいのは、今僕らがどんな戦略で戦っているのかということだ。プランBなのか?」

MCL「プランBだ。PERは+2.4秒。前はOCO(オコン)とVAN。OCOを逆転するチャンスだ」

 18周目、ピットインせず走り続けるバンドーンがオコンとアロンソの間に入ると、チームはバンドーンに援護射撃をさせようとした。

MCL「ALOの後ろにPERがいる。彼を行かせたらPERを少しホールドアップできないかトライしてみよう」

 アロンソにもそれが伝えられるが、チームは理論上の最速戦略である2ストップから、混戦の中団グループでライバルを抑えて戦う1ストップのプランBへの切り替えを想定している。アロンソは1ストップ作戦のためにタイヤをマネージメントすべきなのか、2ストップ作戦のためにプッシュすべきなのかが明確に伝えられず、苛立ちを募らせる。

MCL「PERは+1.6。VANは君を抑えない、マキシマムペースが必要だ」

ALO「混乱してるよ、マキシマムペースで走らなきゃいけないのか、(抑えて走って1ストップの)プランBにするのか?」

MCL「我々は実質的に7位にいる。みんなバックアップタイヤを履いていて同じ戦略だ。タイヤに気をつけなければならない」

ALO 「分かってるよ! だけど簡単じゃないんだ!」

 しかしこのまま行けばなんとかフォース・インディアの1台を抑えて7位でフィニッシュできるかもしれない。そんな展開が見え始めた矢先の24周目、MGU-Hに異変が起こった。冷却水の水圧が落ち、それを検知した制御系がMGU-HとTCの作動を止めた。


ALO「エンジンにトラブルがあると思う」

MCL「バックオフしてくれ、バックオフ」

ALO「信じられない。あぁ……また6ポイントか8ポイント失った」

MCL「分かっている。バックオフしてBOXしてくれ。リタイアする」


 残されたバンドーンは、25周目にピットインしてウルトラソフトで残り30周を走る作戦。4周後にピットインして同じ戦略を採ったフェリペ・マッサも終盤にタイヤに苦しんだことを思えば、やや無謀な戦略だった。

MCL「グッジョブ、ストフ。次はSTRだ。リヤタイヤに気をつけろ」

 タイヤ交換直後は新品ウルトラソフトの威力で27周目にブレンドン・ハートレーを抜き去り、29周目にはストロールも再びパス。

MCL「前でMASとMAGがバトルしている。MAGは1周目からバックアップタイヤで引っ張っている」

 35周目にはケビン・マグヌッセンも下し、前のマッサと同じように順位を上げていく。

MCL「また素晴らしいオーバーテイクだ。P12だ。MAS(マッサ)が5秒前、その3秒前にGRO(グロージャン)。MASはすぐにGROに追い付きそうだ」

 グロージャンに追い付いたところで、バンドーンのタイヤもかなりデグラデーションが進み、簡単にはオーバーテイクができないところまできていた。

MCL「ストフ、ターン1でどうアタックすべきかは分かっているよね? 必要ならターン17~19のアプローチの仕方を変えてくれ」

 周回遅れにされる際にグロージャンの隙を突いて抜こうと努力するが、それも上手くは行かない。

MCL「このクルマたちについていこう。そしてGROがブルーフラッグに苦しんだ時に仕留めるんだ」


 逆にグロージャンはペースを抑え、バンドーンの後方にストロールを引きつけてバトルを仕掛けるのを難しくしようと老練な走りを見せる。それでもバンドーンは53周目になんとかグロージャンの隙を突いてオーバーテイクに成功した。

MCL「よくやった、(引き離して)クリアしよう」

VAN「左のミラーがないから後ろが全く見えないんだ」

MCL「了解、STRがGROを抜いて1.5秒後ろに来ているよ」

 レース最終盤を迎えたバンドーンのタイヤは限界を迎えており、最終ラップでストロールを抑え切れず12位フィニッシュ。やれるだけのことはやったとバンドーンは満足げな表情を見せたが、ポイント獲得はならなかった。

MCL「OKストフェル、P12だ。良いレースだった。20番グリッドからできうる限りのレースをしたよ」

VAN「あぁ、GROの後ろでタイヤを使いすぎてしまったね。みんなありがとう。今日はやれるだけのことはやったよ」

 またしても本来の力を結果に繋げることができなかったマクラーレン・ホンダの歯車は、いつになれば噛み合うのだろうか。