先日の衆議院解散総選挙、すでにみなさんもご存じのとおり与党側の勝利となった。一時は小池都知事が率いる希望の党が伸びるのではないかと思われていたが、結果的に獲得議席は立憲民主党に劣る結果となった。
今回の選挙、総務省のまとめでは投票率は53.68%で戦後2番目に低い数字だという。台風が到来していたことで、選挙に行くどころではなかったという方も多かったかもしれない。(文:松本ミゾレ)
投票用紙に自分の名前を書いてSNSアップ、無効票に意味はない
しかし、それ以外の理由で選挙について見向きもしなかった人というのも、チラホラ目に付いた。投票日当日、メディアの開票速報をリアルタイムでテレビやネットで確認していたんだけど、なんというか、ちょっと引いてしまう人々を目にした。SNSでは、わざわざ選挙に出向いた若い人が、無効票を投票している例をいくつも発見した。
たとえば投票用紙に関係ないイラストを書いたり、なぜか自分の名前を書いてみたり。そういった用紙をわざわざスマホで撮影してネットにアップして仲間内で盛り上がっていたのである。
また、投票にも行かずに、朝っぱらからパチンコ屋に並んで、結局20時を超えてもずっと遊んでいる人のつぶやきなんかも飛び込んできた。本人もそれがどうしてダメなのかイマイチよく分かっていないようだ。僕はシンプルに、「せっかくの投票権がもったいないなぁ」という気になってしまった。
さらには、この話を知人にしたところ「子供の頃、学校の先生に選挙で支持する人がいなかったら、白票で出すのもいいと言われた。よく政治とか分からないからずっとそうしてた」という返事をくらって、ますます唖然としてしまう。
「私一人が行かなくても別に…」という人だらけになったら日本はどうなる?
この原稿を書きながらNHKを垂れ流していると、ちょうど22時台のニュースで今回、若者が選挙に行かなかった理由が紹介されていた。
インタビューでは可愛い女子が「別に私一人行かなくても」と笑って答えていた。同じような話、いつか別の誰かからも聞いたことがある。「自分の一票があってもなくても、どうせ変わらない」との考えも分からないでもない。
だけど選挙区によっては本当に票数も接戦となり、ほんの僅かな差で勝敗が決してしまう。自分一人の票は大したことがないように感じられるかもしれないけど、実際にはそんなことはないのだ。
もしもこんな人がどんどん増えてしまって、自分の投票権を放棄する国民ばかりになってしまったらどうなるんだろうか。大前提として投票に出向かない人というのは、自分の行動が政局に影響をおよぼす可能性を軽視しているんだと、僕は考える。
あるいはそもそも政治のことをまったく知らないで、学ばないまま大人になっているんじゃないか? という気にもなってしまう。そういう人ばかりになったら、この国の政治は一体どうなるんだろうか。
僕の周りには与野党の違いやら、各政党の政策方針。こんな基本的なことが分かってないままアラサー、アラフォーとかになっちゃってる大人がマジでいる。ひどい場合だと、「蓮舫さんって自民党だよね」とか言ってるやつもいるほどだ。
日本は民主主義国家で、そのような国だからこそ、国民は選挙権を手にすることができて、政治に参加することが可能になっている。せっかくの権利を行使しないのは、本当にもったいないことだ。ふざけて絵を描いてネットにアップして「いいね」稼ぎをしている場合ではない。
自分の一票が政治を変えることが、存分にあり得るのが選挙制度なのである。政治マニアになれと言うつもりは毛頭ないけど、せめてどこの党がどんな政策を打ち出していて、自分にどんなメリットをもたらしてくれるのか。このぐらいのことは知っておく必要がある。
こんな当たり前のことを、なぜ僕はこんなところで書いてんだろう……。