Rd.16 10月22日 オーストラリア
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第16戦オーストラリアGP
■開催日:2017年10月22日(日)決勝結果
■開催地:フィリップアイランド/オーストラリア(4.445km)
▪️周回数:27周(120.096 km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:16度 ■路面温度:29度
■PP:M・マルケス(1分28秒386/ホンダ)
■FL:J・ザルコ(1分29秒572/ヤマハ)
REPORT
V・ロッシとM・ビニャーレスが2位と3位でダブル表彰台獲得
Movistar Yamaha MotoGPのV・ロッシとM・ビニャーレスは、7台による激しいトップ争いを果敢に走り切って2位と3位を獲得。ダブル表彰台はチームにとって、今季4回目の快挙となった。
ロッシはグリッド7番手から好スタート。すぐに5番手につけ、プッシュを続けてビニャーレスの後ろの4番手に上がって1ラップ目を終了した。その後J・ザルコとのバトルのなかで一時5番手に後退したが、M・マルケス(ホンダ)とザルコがコーナーではらむ間に3番手へ浮上。さらにビニャーレスをパスし、5ラップ目にはJ・ミラー(ホンダ)をとらえてトップに躍り出た。
しかしその後も混沌とした状態が続く。ロッシは第4コーナーではらみ、ザルコとマルケス、そしてしばらくしてミラーにも先行を許してしまう。数台が激しく順位を入れ替える混乱のなかで、ロッシは再び果敢にプッシュしてトップへの返り咲きを目指していった。
残り8ラップ。2番手を走行していたロッシにマルケスのフロントホイールが接触。これで4番手に後退するも最後の4ラップで復活を期す。第1セクションと第2セクションで繰り返し自己ベストを更新しながら攻め続け、ついには再び2番手に上がって最終ラップに突入した。この時点でトップのマルケスとの差は2秒まで広がっていたため、ロッシはザルコとビニャーレスの追撃を抑えることに集中。そしてトップから1.799秒差の2位でチェッカーを受け、自己通算17回目となるフィリップアイランドの表彰台に上った。
一方のビニャーレスは好スタートを切り、トップのミラー、2番手のマルケスについて行く。2ラップ後にタイヤが暖まってからペース上げてマルケスをパス。そのあとロッシに先行を許したが、離されることなくともにトップを追いかけていった。
ロッシがミラーをとらえると、ビニャーレスはまとめてふたりをパス。これで一時トップに立ったが、次の瞬間にはマルケス、ザルコ、ミラーとのバトルに飲み込まれて5番手まで後退してしまう。
ロッシが果敢に仕掛ける一方で、ビニャーレスはひとつずつ慎重にポジションを上げてゆく作戦。しかし前方では依然として激しいポジション争いが続いており、また後方から攻め立てるザルコとA・イアンノーネ(スズキ)に押し出される格好で7番手まで後退してしまったため、再び身体を伏せてペースアップを余儀なくされた。そして残り5ラップでミラーとC・クラッチロー(ホンダ)をとらえ、さらにイアンノーネとザルコをパスして3番手に浮上。トップから1.826秒差の3位でチェッカーを受けた。
この結果、ビニャーレスはランキングトップから50ポイント差のランキング3位。ロッシは81ポイント差の4位につけている。ヤマハはコンストラクターズ・ランキングで2位へ浮上。Movistar Yamaha MotoGPはチームランキングで2位につけている。
来週はセパン・インターナショナル・サーキットで行われるマレーシアGPに出場する。
ザルコ僅差の4位でルーキーオブザイヤーを獲得!パークスはホームGPで完走
Monster Yamaha Tech3 TeamのJ・ザルコが終始、トップ争いを展開。僅差で表彰台を逃し4位でチェッカーを受けた。
3番手からスタートしたザルコは一旦、順位を下げたが、少しずつ追い上げて9ラップ目にはトップに浮上。その後はトップグループのなかで何度かポジションを入れ替えながら果敢に走り切り、最終的には3位に0.016秒差の4位となった。この活躍によりルーキー・オブ・ザ・イヤーを確実にしている。
一方、欠場中のJ・フォルガーに代わって出場したB・パークスは、YZR-M1のデビューレースで力強い走り。MotoGPのベテランライダーたちに戦いを挑み、22位で走り切った。
COMMENT
Movistar Yamaha MotoGP
V・ロッシ選手談(2位)
「思い切りエンジョイできました。コースがとても素晴らしいし、レース自体も最高でした! 上位グループの全員が非常にアグレッシブだったので、そのなかで勝つためには彼ら以上にアグレッシブに、ある意味"バカ"にならなければなりません。ザルコ、イアンノーネ、マルケス、ビニャーレスとのバトルは本当に素晴らしかったので、そのなかで何としても表彰台に上りたいと全力を尽くしました。そして2位を獲得できたのでとても嬉しいです! チームのみんなにお礼を言いたいです。彼らはいつも懸命に仕事に取り組んでいます。ヤマハのすべての人に感謝しています」
M・ビニャーレス選手談(3位)
「残り5ラップで仕掛けようと考えていました。その前のラップでザルコをとらえ、ストレート・エンドでバレンティーノをパスしようとしたのですが、はらんで遅れてしまいました。ここでザルコと接触しそうになり、イアンノーネも絡んできたため、もう今日のレースは終わったかと思いましたが、そのあと絶好のタイミングが巡ってきて挽回することができたのです。最終コーナーでは、本当ならもうちょっと差を詰めておきたかったところですが、加速が非常に良かったのでバレンティーノをパスできるかもしれないと考えました。しかし結局、届かず3位に終わってしまいました。今回もチームが良い仕事をしてくれて、とくに午前中のウォームアップ・セッションでは、ウエット・コンディションで好感触を得ることができました。またソフト・タイヤのフィーリングもとても良かったので、今回はたくさんの収穫があったと思います。チャンピオン争いに決着がついてしまったことは残念ですが、厳しいシーズンになることは常に意識していました。次のマレーシアでもいつものようにベストを尽し、もう一度、表彰台を狙っていきたいと思っています。そしてシリーズランキング2位のドビツィオーゾとの差を少しでも縮めることも重要です。マシンのポテンシャルを引き出し、いつも以上に力強い走りを目指します」
M・メレガリ、チーム・ディレクター談
「まさにファンタスティック! 全27ラップを通じて、アドレナリンがハイレベルで出続けていました。バレンティーノとマーベリックは異なるタイヤを選択していたので、私としては気が気ではありませんでした。どちらが正しかったのか、確信が持てなかったからです。でも結果的には、どちらのチョイスも良い結果につながり、ふたりそろって表彰台に上ることができました。これはチームにとって非常に重要なことです。前回のもてぎでは苦戦しただけに、今日の成果を糧に次のマレーシアにつなげていきたいと思っています。午前中のウォームアップ・セッションでは、ウエット・コンディションで進化を実感。このことも今回の収穫のひとつです。ライダーたち、チーム・メンバーたち、エンジニアたちのハードワークに感謝します。この好調を維持してチーム・タイトルとコンストラクターズ・タイトルを目指していきます」
Monster Yamaha Tech3
J・ザルコ選手談(4位)
「素晴らしいレースになりました。最後まで優勝争いができたことに満足しています。結局マルケスが前に出ましたが、私も何度もトップを走ることができました。スタートは大混戦になったので、接触を避けて一旦アクセルを戻さなければならず、その間にいくつかポジションを下げました。それでもそのあとは非常に好調で、次々にパスして順位を挽回。本当に最高の気分でした。危ない場面が何度かありましたが、素晴らしいバトルを走り切ったことは良い経験になりました。しかもそのなかでライバルたちの走りを観察し、速さの秘密を探していたのです。最終ラップでは3位を走りながら2位を狙っていて、最終コーナーの立ち上がりで仕掛けました。ラインを変えて前へ出ようとしましたが、気づくと2位ではなく4位になってしまっていたのです。表彰台を逃したことは本当に悔しい。でも今日は大きな収穫を得ることができたと思っています」
B・パークス選手談(22位)
「スタート直後からリアグリップに悩まされました。これはおそらく、YZR-M1での走行経験が少なかったことが原因だと思っています。レースのなかではドゥカティ勢について行けると感じていましたが、残念ながら少しずつ離され、しばらくは単独走行になりました。もちろんもっと上を目指してスタートしたわけですが、ホーム・グランプリで完走できたことには満足しています。このようなチャンスを与えてくれたエルベ(ポンシャラル)とモンスター・ヤマハ・テック3のみんなに感謝しています」
H・ポンシャラル、チーム・マネジャー談
「ここフィリップアイランドでは、いつも信じられないようなレースが展開されます。そのなかでも今日の一戦は、MotoGPの歴史に残る本当に素晴らしい戦いでした。チームとしては雨を心配していましたが、幸い、そのようにはならず、サーキットに集まってくれた大勢のファンに最高のショーをお見せすることができました。スタートでヨハンはミラーと接触し、転倒を避けるために大勢を先行させました。そのあと見事なスピードでポジションを上げていき、ついにはトップへ躍り出たのです。そしてトップに立つやリードを広げようとさらにペースアップ。しかしフィリップアイランドはスリップストリームが有効なので、なかなかアドバンテージを拡大することはできませんでした」
「わたしたちは2000年、250ccクラスでオリビエ・ジャックを擁し、チームメイトの中野真矢との戦いに勝った経験があります。そのなかでスリップストリームの優位性を実感していたのです。ヨハンはストレートで後ろに付かれたとき、スピードが上がりませんでした。最終ラップではマルケスがリードを広げており、ヨハンは3位につけて2位を窺っていました。確かに無理をし過ぎたところがあったと思いますが、バレンティーノのインに飛び込み、その結果、ストレートに入るところでスピードが落ちてしまったのです。そしてすぐ後ろにつけていたマーベリックがスリップストリームを利用してヨハンをパス。われわれは結局、ほんのわずかの差で表彰台を逃すこととなりました。チームの素晴らしい仕事のおかげでサスペンションもタイヤも完璧。ライダーももちろん申し分なく、アグレッシブであるとしても決して行きすぎてはいませんでした。その結果としてランキング6位を確実にすることができたことが、何より重要だと思っています。その意味でも非常に満足していますが、表彰台を僅差で逃したことはやはり残念でもあります」
「一方、ブロック・パークスには心から感謝しています。短期間でフィリップアイランドのコース、YZR-M1、2017年型ミシュラン・タイヤに順応しなければならず、彼にとっては非常に難しいチャレンジだったと思います。その上、コース・コンディションの変化にもかなり苦労させられましたが、彼はほとんどミスをおかしませんでした。決勝は厳しい戦いになることがわかっていましたし、ベテランライダーとの差を縮めるためには当然、もっとたくさんの時間が必要です。このような難しい状況のなかでベストを尽くし、あらゆる面で長所を発揮してくれました。未来のことはわかりませんが、わたしたちは今回、ひとりのトップライダーであり最高のナイスガイと巡り合いました。彼のチームへの貢献に心から感謝します」