トップへ

ハリソン・フォードら来日、『ブレードランナー 2049』会見レポ

2017年10月23日 20:41  CINRA.NET

CINRA.NET

左からアナ・デ・アルマス、ハリソン・フォード、ドゥニ・ヴィルヌーヴ、シルヴィア・フークス
映画『ブレードランナー 2049』の日本公開を記念する来日記者会見が、本日10月23日に東京・六本木のザ・リッツカールトン東京で開催された。

会見にはドゥニ・ヴィルヌーヴ監督、ハリソン・フォード、シルヴィア・フークス、アナ・デ・アルマスが登壇。

■35年ぶり再出演の決意を語る。台風の感想も。

9年ぶり10回目の来日になるというハリソン・フォード。今年で75歳を迎えた名優は、第一声で「日本、そして東京に戻ってこられて、とても嬉しいです。台風も過ぎてくれたし」とコメント。当日の朝まで猛威をふるっていた台風21号について「大変興味深い経験。高層階に泊まっていたから、雲に包まれているみたいだった」と感想を述べた。

第1作目の『ブレードランナー』の日本での人気を知っており、幸せに思っていたという。「今回の続編も、日本のファンがまた楽しんでくれることを願っています」と語った。

『ブレードランナー 2049』では、約35年ぶりにブレードランナーのデッカードに扮した。「リドリー・スコットから直接電話がきて、『もう一度デッカードを演じることに興味はないか?』とオファーがありました。その後に送られてきた続編のショートストーリーとスクリプトを読み、デッカードのキャラクターがエモーショナルな次元でよく表現されていることに満足した。自分も共感できたから、これなら行けると考えて、出演を決意しました」と当時を回顧した。

■「演じちゃ駄目なの?」

会場からの「ハン・ソロを30年ぶり、デッカードを35年ぶりに演じたが」という質問には、「演じちゃ駄目なんですか?」と冗談まじりの返答。会場の笑いを誘った。その後改まって、「たくさんのファンが楽しみに待っていてくれるから」と控えめに語りながらも、「ハン・ソロが30年後にどうなっているか、デッカードが35年後にどうなっているか。どんな人生を過ごしてきたかを考えて演じることは、俳優としてとても興味深いことです」と心境を明かした。

■女優たちが語る、撮影現場でのハリソン・フォード

ライアン・ゴズリング演じる主人公・Kの恋人ジョイ役を演じたアナ・デ・アルマスは、撮影時を振り返り、露出の多い衣装だったため、ハリソン・フォードが「大丈夫? 寒くない?」と気遣ってくれたというエピソードを披露。一方のハリソンは「覚えてないな」と照れくさそうに呟いた。キューバ出身のアナ・デ・アルマスは、2015年に「世界で最も美しい顔100人」の第9位に選ばれた新進女優。この日の会見では、ややはにかみ気味に発言した。「偉大な作品の一部になることに対して、ナーバスになったこともあるが、多くを学んだ」とも。

Kと敵対するレプリカント・ラヴ役を演じたシルヴィア・フークスは、オファーがあったとき、「大きな声で叫び、それから号泣してしまった」と陽気にコメント。ハリソン・フォードについては、「撮影に入った当初、子供の頃から知っているハン・ソロ、インディ・ジョーンズだと意識してしまうので、なるべく見ないようにしていました。でも、ちらっと彼のほうを見ると、『ある時、バーに犬がいてね……』とジョークを飛ばして笑わせてくれたんです。彼は温かい人。クリエイティビティを尊重してくれる。本当に楽しい現場でした」と笑顔で語った。

■監督は「映画の神様に感謝」

映画『メッセージ』でも話題を集めたドゥニ・ヴィルヌーヴ監督は、「自分たちの世代は1作目の『ブレードランナー』に大きな影響を受けた。前作を観なくても『ブレードランナー 2049』は楽しめる。でも、若い世代にもぜひオリジナルを観てほしい」と語った。

また最近のSF映画は戦争ものが多いと指摘し、本作には謎解きの要素があり、そして登場人物たちの感情が描かれていると胸を張った。

世界各地で好評を博していることについて、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督は「この映画を作るにあたって、ものすごいプレッシャーを感じていた。緊張感や恐怖もあった。けれどみんなでベストを尽くし、いま世界で受け入れられている。映画の神様に感謝したい。車に爆弾も仕掛けられなかったしね」とコメント。

■キーワードは「エモーション」?

ハリソン・フォードは「異なる文化を持った国々でヒットしているというのは、興味深いこと。物語の舞台はカリフォルニアとラスヴェガスだが、この映画が伝えたいこと、人間とは何か? 人間は運命をコントロールできるのか? という文化の違いを越えた問に答えようとする映画です。そして人間のエモーションに関わる問いについての映画。真の意味で国際的な作品だと考えています」と結んだ。

会見を通して、登壇者たちが本作を人間の普遍的な「エモーション」を描いた作品であると強調していた点が印象的だった。

なお、たびたび日本を訪れているハリソン・フォードが今回行ってみたい場所は、「地方」とのこと。「自分で車を運転して、日本の色んな場所を見てみたい」と願望を明かした。ちなみに昨日は1日中オフだったが、台風のため「モールにいた」のだそう。

■『ブレードランナー 2049』とは

ドゥニ・ヴィルヌーヴが監督の『ブレードランナー 2049』は、フィリップ・K・ディック原作、リドリー・スコット監督による1982年の映画『ブレードランナー』の30年後を描いた続編。製作総指揮をリドリー・スコットが務めた。日本公開は10月27日から。

『ブレードランナー』と『ブレードランナー 2049』の間を繋ぐ、「空白の30年」のエピソードを描く渡辺信一郎監督の短編アニメーション『ブレードランナー ブラックアウト 2022』と、リドリー・スコットの息子であるルーク・スコットがメガホンを取った『2036:ネクサス・ドーン』も制作され、全編がYouTubeで公開中だ。

ヴィルヌーヴ監督は現在、SF小説シリーズ『デューン』の映画化に取り組んでいる。デヴィッド・リンチの監督作や、アレハンドロ・ホドロフスキー監督による映画版の頓挫などで知られる『デューン』を、ドゥニ・ヴィルヌーヴがどのように映像化するのかにも今後注目を集めそうだ。