多様な働き方が増えている昨今だが、コピーライターの糸井重里さんがツイッターでフリーランスとしての働き方について語り、話題を呼んでいる。
10月20日、「いま現在『フリー』の立場で働いている人が、これからの未来につながるあらゆる働き方の実験をしているのだと思う」というツイートを投稿した。
「売れすぎてすべて引き受けて資源が枯渇したり過労で倒れたりすることも、うまいこと休んでちょうどよく働くことも、年の半分働くようなことも、会社の働き方のモデルになるであろう」
「ちやほやされると『すごいじぶん』を見せ続けようして、妙なことになりやすい」
糸井さんは25~45歳の20年間をフリーランスとして働き、その後企業、現在も「ほぼ日」の代表取締役を務めている。フリーと経営者の両方を経験している糸井さんは「フリーは、『ひとりブラック企業』化しやすい」とも指摘している。
「健康なマネジメントをぶっとばして稼ぎに入ってしまうからね。企業には福利厚生だの労働規制だの就労環境だの企業医だの不要そうにも見えて大事なしくみが山ほどあるんだけど、フリーは『沖縄行って遊んでくるわ』みたいなことで済ませちゃんとちゃう?」
そのような状況もあってか「つらくない人と、つらい人の差はつくだろうなぁ」と発言している。糸井さんは"プレイヤー"としての自分と、"マネジメント"を切り分けて「ちょうどいいサイズの経営」で自分自身が無理なく働けるようマネジメントすることが重要なのでは、としている。
またフリーランスの立ち位置や働き方については、次のようにも語った。
「『ちやほやされる』と『なめられる』の間のところに、ほとんどのフリーがいるのだろうと思うけど、実は『ちょっとなめられる』くらいの位置のほうが自由でいられるような気もするな。それはつまり、『若さ』ということと同じかな」
ちなみに「ちょっとなめられる」くらいのときに「基本的な栄養を摂ったり、未来をじいっと見たくなったり、ほんとの約束とかに助けられたりする」といい、「ちやほや」がはじまると、「『すごいじぶん』を見せ続けようとかして、妙なことになりやすい」という。これはフリーランスに限らず、身の丈を知って調子に乗り過ぎないようにする、ということだろう。
「収入が安定しない」「仕事が見つからない」から仕事をしすぎてしまう?
ランサーズが3月に発表した調査によると、日本でフリーランスとして働いている人は2016年(1064万人)から2017年(1122万人)にかけて5%増加し、労働人口の17%を占めている。
また経済規模も18.5兆円となり、前年度より15%増加している。仕事に対する満足度を聞くと「自由である」と回答した人が83%で、ノンフリーランス(45%)を38ポイント上回っている。理由としては「自分の能力を生かせている」(54%)、「収入が増えた」(32%)、「ワークライフバランスが良くなった」(28%)などが挙がっている。
その一方で、障壁として「収入がなかなか安定しない」(45%)、「社会的信用を得るのが難しい」(17%)、「仕事がなかなか見つからない」(15%)などという声が寄せられている。
だからこそが仕事をがんばりすぎてしまい、裁量権が自分にあることが裏目に出てしまう場合もある。フリーランスが今後も増え続けるとすると、"ひとりブラック企業"化しない方法論や仕組みが今後より重要になっていくだろう。