スーパーフォーミュラ最終戦は、悪天候でまさかの中止。その結果、ピエール・ガスリーのタイトル獲得はならなかった。同じ週末のアメリカGPをわざわざ休んで日本に行ったガスリーにしてみれば、さぞやりきれないことだろう。トロロッソのフランツ・トスト代表も同じ思いだろうと、オースチンのパドックで話を訊いてみた。
「もちろん残念だよ」とトスト代表は一応は言うものの、「レースだからこういうことはあるさ」と、笑顔を見せた。
ホンダの意向を尊重して、ガスリーを日本に送り出した。とりあえず、その義理は果たしたというところか。これでガスリーのスーパーフォーミュラ参戦は終わったわけだが、今後トロロッソのドライバーラインナップはどうなるのか。
次戦メキシコGPは誰が走るのか質問すると、「ガスリーが最終戦まで出走するのは、100%確実だ」と、トスト代表は断言した。
ところがもうひとつのシートに関しては、「まだ未定だ」という。普通に考えれば実績も経験も豊富なダニール・クビアトのはずだが、「今週末の結果も合わせて決めたい」と言うのだ。
確かに今季のクビアトは絶不調で、ここまで54ポイントを獲得して選手権9位に付けているカルロス・サインツJr.に対し、今回のアメリカGPで10位に入賞したものの同19位と大きく見劣りしている。
しかもマレーシアと日本の2戦を休まされたことに対し、復帰したオースチンでチームに公然と不満をぶちまけた。そんなクビアトに、トスト代表とレッドブルのヘルムート・マルコ博士はすっかり見切りをつけたということなのだろう。
しかし彼らにとって誤算なのは、ガスリーに続く若い才能が今のレッドブルにはいないことだ。それもあって今回、一度はレッドブル育成プログラムから外されたブレンドン・ハートレーを引っ張り出してきたわけだが、クビアトに1秒近い大差を付けられQ1落ちを喫した。
それでも本人は、「ここまでで、クルマのことがずいぶん理解できた。とにかくハッピーな週末だよ」と、あくまで前向き。
しかも何もかも初めてづくめにもかかわらず、実にリラックスしている。メキシコ以降も参戦継続だと上層部から確約されているのかと、思わず勘ぐりたくなるほどだった。