10月22日現地時間午後2時、F1第17戦アメリカGPの決勝が行なわれた。朝に雨が降りサポートレースはウエットコンディションでのレースとなったが、昼前には太陽が出て路面は完全にドライになり、気温24度、路面温度34度まで上がってスタートを迎えた。
ストフェル・バンドーンは午前中にMGU-Hに問題が見つかり、決勝までの時間を考えて主要4コンポーネントを全交換して25グリッド降格ペナルティを受け最後尾からスタートすることになった。
その他、土曜までのパワーユニット交換や予選時の走行妨害で多くのドライバーがペナルティを受け、最後方のバンドーンの前にはブレンドン・ハートレー、ニコ・ヒュルケンベルグ、ケビン・マグヌッセン、マックス・フェルスタッペン、ランス・ストロールという順になっている。
フェリペ・マッサ、マーカス・エリクソン、ストロール、フェルスタッペン、マグヌッセン、バンドーンはスーパーソフト、パスカル・ウェーレインはソフトタイヤでスタートする。
スタートで好発進を決めたセバスチャン・ベッテルがターン1までにインからルイス・ハミルトンの前に出てリードを奪う。
その後方ではバルテリ・ボッタス、ダニエル・リカルドと続き、5番手にはキミ・ライコネンを交わしたエステバン・オコン、フェルナンド・アロンソはその後方でカルロス・サインツJr.の猛攻をなんとか凌いで7番手で1周目を終えた。
リカルドは2周目のセクター1でボッタスに並びかけサイド・バイ・サイドとなるが、ボッタスがなんとか3番手を守った。
リカルドはさらに4周目のターン1でインに飛び込むが、タイヤをロックさせオーバーシュートしてしまう。その一方でライコネンは2周目のターン15でインを突いてオコンの前に出る。
後方ではマグヌッセンとウェーレイン1周目のターン12で接触し、ウェーレインは6周目にリタイア。マグヌッセンは右フロントがスローパンクチャーでソフトタイヤに交換してピット義務を消化して実質ノーストップ作戦に出ている。
2番手ミルトンはファステストラップを記録してベッテルを追い詰め、6周目のバックストレートでDRSを使って易々とオーバーテイクを成功させた。
フェルスタッペンは7周目にはアロンソを抜いて7番手に浮上、9周目にはオコンも抜いて6番手まで挽回してきた。アロンソは依然としてサインツとテール・トゥ・ノーズで8番手を争い、その後方ではマッサとペレスが10番手を争う。
フロントのグリップ低下に苦しむリカルドは12周目にピットイン。ペレスもこれに続く。その一方でじわわじとベッテルを引き離していくハミルトンは「まだまだスティントを伸ばせる」と余裕を見せる。
14周目にファステストラップを記録したリカルドだったが15周目のターン12立ち上がりでエンジンが壊れてリタイア。左フロントのブリスターを訴えるベッテルは16周目にピットインを済ませソフトタイヤに交換するが、ハミルトンはまだ引っ張れると無線で報告する。
後方ではオコンとアロンソも14周目にピットストップを済ませ、そのままの位置関係でコースに戻る。後方にはペレスが迫り、アロンソはチームの戦略に苛立ちを募らせる。
ハミルトンは19周目にピットインし、ベッテルの直前でコースに戻る。ベッテルはハミルトンの背後に迫るがターン1でホイールスピンを犯してしまい、セクター1では抜けず再逆転のチャンスを逃してしまった。
ピットストップを遅らせて走り続けるフェルスタッペンが首位に立ったが、ハミルトンは23周目に追い付いてターン13~14でラインをクロスさせてオーバーテイクした。
24周目、バックストレートでアロンソがスローダウンし「エンジンにトラブルがあると思う」と訴え、チームの指示に従ってバックオフしピットに戻りリタイアした。
3強チームの後方はまたしてもフォース・インディア勢の編隊走行となり6番手オコン、7番手ペレス。無線でペレスが「ペースを上げてくれ」「後で戻すから順位を入れ換えてくれ」と訴えるがチームは「もっとタイヤマネージメントが必要だ」と伝える。
33周目にサインツがターン16~18でペレスの背後に迫りターン19でインを突いてオーバーテイク。ペレスは翌周のターン1でインを狙うが抜き返せなかった。
35周目を迎える頃になると、首位ハミルトンはやや独走で2番手ベッテルは6秒後方、そしてその2秒後方の3番手ボッタスに4番手ライコネンが追い付いてきた。
5番手フェルスタッペンはこのままではライコネン追撃が難しいと判断して37周目にピットに飛び込みスーパーソフトに履き替えてアタックを試みる。これを見てプランBを考慮していたベッテルも動き38周目にピットインしスーパーソフトに交換。フェルスタッペンの僅か前でコースに戻り4番手をキープする。
後方ではオコンとサインツの6番手争いが続き、ストレートが伸びないサインツは決め手を欠くがコーナーでじわじわと間合いを詰めていく。
ライコネンは42周目のバックストレートでDRSを使いターン12のインに飛び込んでようやくボッタスをパス、2番手に浮上した。しかし2ストップ作戦でスーパーソフトに換えたベッテルとフェルスタッペンは1秒以上速いペースでライコネンとボッタスを追いかけていく。
50周目にはベッテルがボッタスの背後に追い付き、51周目のターン1へアウトから並んでアプローチし立ち上がりで抜き去って3番手を奪い取った。フェラーリはライコネンにベッテルを先行させベッテルが2番手に浮上する。
ボッタスは52周目にフェルスタッペンにターン12でインに並ばれ、僅かに接触してコースオフ。フェルスタッペンに先行されたボッタスは後方のギャップが開いているためここでピットインして安全策を採った。
フェルスタッペンは最終ラップのターン16でインを突いてライコネンの前に出て3位をもぎ取ってみせた。しかしフェルスタッペンはイン側にコースをはみ出しトラックリミットを超えて抜いており、5秒加算ペナルティが科されたため4位に降格となった。
ハミルトンは最後まで一人旅で優勝、今季9勝目を挙げた。これによりメルセデスAMGの4年連続のコンストラクターズタイトルが決定した。
2位にはベッテル、ライコネンが3位表彰台を手にした。ボッタスは5位、オコンはサインツを抑え切って6位、マッサを抑え切ったペレスが8位、3戦ぶりの復帰となったクビアトが10位で第5戦スペインGP以来のポイントを獲得した。
バンドーンはタイヤのタレたハース勢を抜いたもののストロールに逆転されて12位でレースを終えた。