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「女性」になったケイトリン・ジェンナーがっかり 抗議殺到でトランスジェンダーの賞授与ならず

2017年10月22日 16:13  Techinsight Japan

Techinsight Japan

「賞は他の方にお譲りした」とケイトリン・ジェンナー
キム・カーダシアンの母クリスの再婚相手であったブルース・ジェンナー。かつては五輪陸上界のスター選手として多くの女性をシビレさせていたブルースも、今はケイトリンと名を改め「女性」として暮らしている。2015年にカミングアウトし、女性らしい顔を手に入れるべく美容整形手術を繰り返し、自伝では男性としての性器は切除したと綴っている。自分の外見とフェミニンな中身との違いに悩み苦しんだ末、「遅すぎるということはない」と60代半ばで決断と行動に出たケイトリンの生き方に対し、トランスジェンダー界の栄えある賞が与えられると一旦は決まっていたが…。

ロサンゼルス界隈の保健センターや教育機関の保健室とのネットワークを通じ、経済的、家庭的な問題や精神的な問題を抱えている者にも安価な費用で医療支援サービスを提供してきた「セント・ジョンズ・ウェル・チャイルド・アンド・ファミリーセンター(St. John’s Well Child & Family Center)」。彼らが提供するサービスのなかでも「トランスジェンダー・ヘルス・プログラム」は特に有名で、性同一性障害に苦しむ人々を強力にサポートしてくれている。

このほどウェストハリウッドで同センターが提供する『TransNation Film Festival』という映画祭が開催された。当初、彼らはトランスジェンダーとしての勇気ある決断、行動力、人生観などを称えるため、ケイトリン・ジェンナー(67)にある賞を授けようと考え、ケイトリン本人もそれを知らされていた。ところがそれに「待った」をかけたのがトランスジェンダーのコミュニティ。リッチで派手なセレブ人生を送り、性転換や美容整形といった手術費用にもなんら困らない彼女を「同胞」と感じている人は多くはなかったということか、LGBT(レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー)の人々から抗議が殺到した結果、ケイトリンの受賞は却下となってしまった。

「先週、関係者と会って話を聞きました。セント・ジョンスさんの大変意義のある使命や活動を祝うこのイベントにおいて、私が受賞することはその目的から逸脱してしまうということ。これはよく理解していますので私自身も受賞はお断りしました。でも、これからもセント・ジョンスさんやトランスジェンダーの人々を支援していきたいという私の気持ちに変わりはありません。」

「同じ悩みを持つコミュニティの皆さんとは強い絆と愛情で結ばれています。皆さんと同じテーブルにつき、心を開き合って気持ちを共有しあい、少しでも皆さんの心の痛みを和らげるよう私も力になりたい。自分にできることを頑張ってやっていきたいと思っています。」

相当がっかりきていたに違いないケイトリンだが、彼女は人生の酸いも甘いも経験してきた年齢であり、若手セレブのように不満を爆発させるようなことはしない。まったくそれを許さない時代に生きてきたこともあり、自身のセクシュアリティに関する悩みを封印してきた者が意外にも多いといわれる熟年層。ケイトリンはそんな人々のよき支援者、相談相手となって欲しいものである。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)