USGPに先立つ木曜日。フェルナンド・アロンソのマクラーレン残留が正式に発表された。その日のF1定例会見にFIAがアロンソに出席を要請したのは、このタイミングで残留発表されることが予想されたからだろう。
アロンソはここで、契約に至るいきさつや複数年契約であることなどをコメント。普通ならこれで十分なところだが、マクラーレンは丁寧にもその数時間後、改めてアロンソとエグゼクティブ・ディレクターのザック・ブラウンによるチーム会見を開いた。
アロンソはFIA会見でも喜色満面という感じではなかったが、ここではさらにぶっきら棒というか、無愛想だった。ブラウンが「チームの将来に、フェルナンドはなくてはならない存在」と持ち上げても、そっぽを向くようにガラス窓の向こうを眺めていたり。
アロンソのそんなリアクションには、いくつかの理由が考えられる。しかし一番大きかったのは、『マクラーレン以外に選択肢がないことへの苛立ち』だったのではないか。もう一度トップチームに復帰し、三度目のタイトルを狙いたい。しかしメルセデスもレッドブルもフェラーリも、早い段階からアロンソは要らないと言明した。さらに古巣のルノーからも断られ、F1で現役を続ける限りはマクラーレン残留しかなくなっていた。
マクラーレン側はそれを十分承知の上で、優位な立場で交渉を進めたと思われる。おそらく年俸も、かなり下げられたのではないか。複数年契約にしても、ハミルトン2世の呼び声高いランド・ノリスの成長次第では、来季1年で契約を打ち切り、2019年はストフェル・バンドーン、ノリスのラインナップになるかもしれない。
それでも来季のマクラーレン・ルノーが目覚ましい戦闘力を見せればいいが、飛躍を目指すワークスルノーが彼ら以上の結果を挙げることを果たして許すだろうか。
会見でアロンソが盛んにインディ500やルマンに言及したのは、F1を続けることのモチベーションがすっかり低くなってしまったことの証左としか思えない。元世界チャンピオンのF1キャリアの終わりは、思った以上に淋しいものになりそうである。