2017年10月22日 10:03 弁護士ドットコム
合コンに参加した男性が一括して会計を済ませるのはよく見る光景だ。しかし、領収書をもらって、経費で落とそうとするセコい考えの人もいる。
【関連記事:「500万円当選しました」との迷惑メールが届く――本当に支払わせることはできる?】
実際に、インターネット上のQ&Aサイトには、合コンに参加した女性から、女性側が飲食代を支払ったにもかかわらず、ある男性が合コン代を経費で落とすために、全額分の領収書をもらっているのを見たという投稿があった。
合コンの費用を「交際費」「取引先の接待」などの名目で、通すことは可能なのだろうか。新井佑介税理士に聞いた。
「合コンでまとめて会計をする姿とは裏腹に、男子としては領収書を経費処理する姿はあまり見られたくないかもしれません。
今回の男性は会社員の方ということなので、接待交際費として経費処理しようとしているのが会社ということを前提に、法人税法における接待交際費の基本的な考え方について説明しましょう」
どのような点がポイントになるのか。
「まずは、何が法人税法上、接待交際費にあたるかです。一言でいうと、『取引先を含む事業関係者と良好な関係を保つために支出する飲食代等』となります。少し細かいですが、個人事業(所得税法)では、『収入を得るために直接必要なものであること』と規定されていますが、会社(法人税法)には同様の規定がないため、接待交際費の範囲は所得税法のそれより実質的に広いと考えています。
接待交際費としての要件を満たす限り、例え合コンでも接待交際費になる可能性はあります。例えば、取引先の社員が同席している場合などは、苦しいですがその余地はゼロとは言い切れないのではないでしょうか。ただ、そもそも社内規定で経費精算できないかもしれません。
ここで注意したいことは、接待交際費として扱うには『実際に支出する』必要があるということです。女性からの投稿によると合コン代は『ワリカン』であったようです。男性は自分が負担した分のみの領収書を店舗より発行してもらい、実際に支出した額のみ経費処理しなければなりません。
傾斜がいくらであったか(会費が男性が多めで女性が少なめという意味です)は問題ではありません。今回のように全額分の領収書を使って、実際に支払っていない金額までも経費計上することは、俗にいう架空経費になります。
当然、経費性は否認されるとともに、税務調査の際には『過少申告加算税』や悪質な場合には『重加算税』が課せられる可能性もあります。
楽しかった合コン、何処で意中の女性が見ているかわかりません。お会計の際にも気を抜かずにしましょう。その際、くれぐれも今回説明した接待交際費のことは忘れないようにしてくださいね」
【取材協力税理士】
新井 佑介(あらい・ゆうすけ)公認会計士・税理士
慶応義塾大学経済学部卒業。AAG arai accounting group 代表。金融調整から新設法人支援、法定監査まで幅広く全力でクライアントをサポート。趣味はサーフィンとスノーボード、そして登山。好きな言葉は「変わり続ける勇気」
事務所名 : AAG Arai Accounting Group / 経営革新等支援機関 新井会計事務所
事務所URL: http://shozo-arai.tkcnf.com/pc/
(弁護士ドットコムニュース)