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ワインスタイン、女優の卵もターゲットに ルピタ・ニョンゴがセクハラ被害を証言

2017年10月21日 14:23  Techinsight Japan

Techinsight Japan

「泣き寝入りはダメ」と女優ルピタ・ニョンゴ
「触られた」「性行為を強要された」などと大物女優やモデルが続々と被害を訴えていた、映画プロデューサーのハーヴェイ・ワインスタインによるセクハラ問題。だが残念なことに、“芸能関係における枕営業は暗黙の了解。美しさを武器に有名になりたい女性側の計算もあったはず”などという見方が飛び出しているのも事実である。ワインスタインが度を越す性依存症か否かも大きく問われている中、特に重要視されているのが「女性たちが嫌がるのに局部を露出し、見るように命じられた」といった強引な性癖である。性的な色気を売りにしていない黒人女優が、女優の卵であった時代にワインスタインからのそうしたセクハラ被害があったことを新たに訴えた。

彼女は女優のルピタ・ニョンゴ(Lupita Nyong'o=34)。ケニア人の両親のもとメキシコで生まれ、ケニアで育った。ルオ語、英語、スワヒリ語、スペイン語を話し、スティーヴ・マックィーン監督による2013年公開の映画『それでも夜は明ける』での熱演によりアカデミー助演女優賞などを受賞し、米『People』誌の「世界で最も美しい人」にも選出された。父親はナイロビ大学の政治学の講師を経て現在は政治家として活躍しており、本人は米マサチューセッツ州のハンプシャー大学で映画学を専攻。2012年にイェール大学の演劇大学院を卒業という才色兼備な黒人女優である。2015年の『スター・ウォーズ フォースの覚醒』に続き、今年12月に公開される『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』にも同じ“マズ・カナタ”役で出演した。

このほど『ニューヨーク・タイムズ』に“私もセクハラ被害を受けたひとりです”として手記を寄せたルピタ。チャンスをつかみ、優れた作品に起用してもらいたいとの野心に燃える学生であった2011年、ベルリンのある式典で初めてワインスタインと会ったという。ニューヨークでの再会を果たしたが、ワインスタインがとても押しの強い野獣のような人間だと感じたにもかかわらず近づいてしまったようだ。

映画作品を見るからとワインスタインの自宅に誘われると、彼はルピタに「マッサージをしてあげる」と言って困惑させ、レストランでのディナーに誘われると「階上にプライベートルームがある。そこに移ろう」とも言われた。申し出を断れば女優の道は閉ざされる、しかしこういう人物に深く関わってしまうと必ず落とし穴がある、そんな不安にかられたが、その心中を見透かしたかのようにワインスタインは「君のキャリアはよくわからないけれど、うまいこと行くから大丈夫だよ」などと言ってルピタを安心させたという。

実は彼女も被害に遭ったほかの女優やモデルたちと同様に、当初は「私の態度もいけなかった。こんな恥ずかしい出来事は心の奥深くに封印しておかなければ」と感じていたという。競争の厳しいハリウッドだけに女優たちは常に孤独との闘いを強いられており、大物を敵に回すような騒ぎ方をすれば自身の自滅につながるためだ。ワインスタインのセクハラの実態を捉えた音声が録音され、メディアを通じて世間に暴露されたこの機会を決して無駄にしてはなるまい。「被害に遭った女性は黙っていてはいけません」とルピタも強く呼びかけている。

なおワインスタインの弁護士に問い合わせた『E!News』によれば、彼らはルピタによるこの糾弾を「すべて虚偽。名誉棄損に値する」として強く非難しているという。もっともこれだけ大きな問題になり、ハリウッドから追放され、争いの場が法廷に移される可能性も高いとあって、ワインスタインもかなり参っているもよう。「仕事仲間との付き合い方が今と昔では大きく変わっている、このことに気付かずに多くの女性たちを傷つけたのであればお詫びしたい」などと反省のコメントも聞かれるようになっているそうだ。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)