2018年6月24日にアメリカ・コロラド州で開催予定の第96回パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム(PPIHC)に向け、フォルクスワーゲンがフルEVマシンを製作し、参戦する意向を明らかにした。
通称“雲へ向かうレース(レース・トゥ・ザ・クラウド”)と呼ばれ、その歴史において数多くの著名なチャレンジャーたちが挑んできた伝統のイベントに、電動化技術に取り組むフォルクスワーゲンがオール・エレクトリック、オールホイールドライブの新開発プロトタイプで挑むこととなった。
レース距離19.99km、156のコーナー、平均勾配7%の過酷なステージを駆け上がり、標高4301mのフィニッシュラインを目指すこのイベントを、新たなモータースポーツ・プログラムとして設定したフォルクスワーゲン。
2025年までに電動モビリティのみのマニュファクチャラーに生まれ変わると宣言しているフォルクスワーゲンにとって、避けては通れない新たなプロセスの一部として取り組むという。
「パイクスピーク・ヒルクライムは世界でもっとも有名なカーレースのひとつだ。これは大きなチャレンジで、我々の有する技術力と今後の開発能力の向上を証明するのに最適な場所だと言える」と語るのは、このプロジェクトの開発責任者であるフランク・ウェルシュ博士。
「我々の新しいレースカーは、電動化によるイノベーティブな駆動力制御とバッテリー技術を搭載する。パイクスの極端に過酷な環境でのストレステストにより、今後の開発に役立つ重要な発見をもたらしてくれるはず。それらの知見は、今後に発表される23の電動車種の全てに反映されていくだろう」
この新たなパイクスピーク・レーサーは、フォルクスワーゲン本社であるウォルフスブルグの技術部門と、ハノーファーに拠点を置くフォルクスワーゲン・モータースポーツの両社が緊密な連携の上に開発を進めており、「このマシンが新たな始まりであり、初めてのフルEVレースカーとして多くをもたらすだろう」と語るのは、フォルクスワーゲン・モータースポーツのディレクターを務めるスベン・スミーツ。
「このプロジェクトは、我々のモータースポーツ活動の重要なマイルストーンとなる。我々としても、この文字通り素晴らしいチャレンジに全力で臨んでおり、スペクタクルな“ツイン・エンジン・ゴルフ”で参加した1987年以来、ふたたびコロラド山に戻れることを楽しみにしているよ」とスミーツ。
近年はEVクラスの挑戦者が相次ぎ、それぞれにバッテリー技術や電動駆動力配分の実戦開発の場としてパイクスに挑んでいるが、このフォルクスワーゲンEVレーサーも、当面の目標として2016年にリース・ミレンのドライブした『e0 PP100』の8分57秒118のEVレコード更新がターゲットとなる。