第17戦USGPの木曜FIA会見は、急きょF1デビューが決まったブレンドン・ハートレーと、その引き金となったルノー移籍のカルロス・サインツJr.、そして今週末にタイトル決定の可能性があるルイス・ハミルトンが出席した第1部に注目が集まりました。
ヨーロッパとの時差に合わせて午前11時という通常よりも早い時間に行なわれたFIA会見ですが、初戦で嬉しそうな笑顔を見せるハートレーと、タイトル争いのプレッシャーからか口数の少ないハミルトンの表情が対照的。
ハートレーに質問が飛ぶとカメラのシャッター音が一斉に鳴り響き、その注目度の高さを伺わせます。WECで毎年このCOTAを走っていることや、2013年にはグランダム耐久レースを戦っているなど、アメリカとのつながりもあります。
「今はすごくリラックスしているし、明日走るのが楽しみだ。僕にとっては大きな瞬間になるだろうし、すごくワクワクしているよ」
そうは言うものの、周りのドライバーに比べると明らかにミネラルウォーターを口に含む回数は多め。緊張しているのが伝わって来ます。
「ポルシェがLMP1から撤退すると発表した時に、ヘルムート・マルコに連絡して『僕は10年前とは別のドライバーというくらいに成長したよ。多くを学んだし、チャンスがあれば準備は出来ている』と話したんだ。その時は彼は多くを語らなかったけど、それから3カ月後に彼から連絡が来たというわけさ。そこからはあっという間だった」
ポルシェのWEC撤退でインディ転向も視野に入れたというハートレーですが、今回のF1デビューでそれがどうなるのか、アメリカメディアも気になるようです。しかしハートレーはF1界お決まりの便利な表現で逃げます。
「先のことは特に聞いていない。僕は今週末のことだけに集中しているし、その後のことはそれからだよ」
一方、黄色いユニフォームがまだ見慣れないサインツも、ハートレーと同様に具体的な目標を掲げることはしません。
「まずはセッションごとにきちんと仕事を進めていくこと。もちろん一番速く走りたいけど、まずは手順をひとつずつこなしていかないとね。クルマのことを理解して自分に合わせていくと同時に、自分自身もクルマに合わせていかなければならないんだ。それには時間も掛かるし、それをできるだけ速くこなすことが目標だよ」
ハートレーへの注目度は高かったものの、取材陣からの質問が多かったのはやはりハミルトン。一部で盛り上がりを見せているアメリカ国歌反対の運動に今週末加わるのかというゴシップ的な質問を「その予定はない」と跳ねのけ、タイトルのことを聞かれてもハミルトンは素っ気ない答えを繰り返すばかり。
「何も変わらない。今までのレースと全く同じで、同じメンタリティで臨む。みんなの見方は違うかもしれないけど、僕は何も違わないんだ」
「残り4戦でタイトルを獲ること、それが僕の目標だ。それがどこだろうと最終戦だろうと関係ない。今週この目の前のレースで勝つこと、それがまずは最も重要なことなんだ」
と、やはりF1界お決まりのフレーズで回答。新人であろうと4度の王座目前のトップドライバーであろうと便利に使えるこのフレーズ、皆さんも日常生活で試してみてはいかが?