2017年10月20日 10:22 弁護士ドットコム
徐々に支払い可能なサービスが増えている「ビットコイン」。なんと、デリヘルなどの風俗店でも導入する店舗が登場しているという。
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たとえば、富裕層を狙った都内の超高級デリヘル店。HPには「風俗店として国内初bitcoinでのお支払いにも対応いたしております」の記述が見える。金額は2時間20万円から。最高クラスだと2時間100万円もするという。いずれも別途、手配料20%がプラスされるというから驚きだ。
もし支払いがビットコインであった場合、税金はどうなるのだろうか。松本崇宏税理士に聞いた。
ーービットコインユーザーがお店の支払いをビットコインで行った場合に、税金はかかりますか?
ビットコインを使うことにより生じた利益は、所得税の課税対象となります。使用時のビットコインの価額(時価)と購入した時の価額の差額が利益となります。
たとえば、お店の料金が30万円で、ビットコインの支払いで決済をした場合、そのビットコインを購入した時の価額が10万円なら、30万円-10万円=20万円の利益という具合に計算されます。
その場で税金を支払う必要はありませんが、1年間のビットコイン取引による損益を計算して、所得税の確定申告を行う必要があります。
なお、会社で年末調整を行っている給与所得のみのサラリーマンの方については、当該ビットコインに係る所得が20万円以下となる場合には、所得税の確定申告が不要となる場合もあります。このような場合でも、別途住民税の申告は必要となりますのでご注意下さい。
ーーお店にはビットコイン決済を導入するメリットはある?
1つに話題性があげられると思います。今ならビットコイン決済を導入するとニュースに取り上げられる可能性があります。広告宣伝の効果は高いと思われます。
もう1つ考えられる理由として、ビットコインユーザーの多くを中国の方が占めていると言われておりますので、中国の富裕層の方を意識しているのかもしれません。現地通貨への両替も不要であり、使用の幅が広がるという意味では、ビットコインユーザーにも悪い話ではないと思います。
なお、一般的な利用者がビットコインを使うことにより生じた利益は、原則として「雑所得」に分類されます。この場合にはビットコインに係る年間の損益が赤字だった時でも、他の所得と損益の通算をすることが出来ない等の難点があります。
個人事業主が自身が経営する店で、ビットコイン決済を導入すれば、その所得区分が「雑所得」から「事業所得」になります。事業所得の場合は、ビットコインに係る損失を他の所得から控除することが出来るようになるため、店のオーナーにとってはメリットがあるのかもしれませんね。
【取材協力税理士】
松本 崇宏(まつもと・たかひろ)税理士
「デリヘルはなぜ儲かるのか」(小学館文庫)の出版を機に日本で唯一、風俗業種に特化した税理士事務所。全国の風俗業の税務申告、相談の対応をしている。新刊「風俗オーナー限定 最強の『節税』」(幻冬舎)が平成29年6月に発売。平成29年10月11日より、国内3店舗目となる横浜事務所がオープン。
事務所名 : 税理士法人松本
事務所URL: http://www.deri-tax.com
(弁護士ドットコムニュース)