2017年10月20日 10:22 弁護士ドットコム
現在、育児中の男性が10月10日、Twitterにこんな投稿をしました。
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「現在、4カ月の子どもを妻とマンションで育てています。夜泣き等、大変ですが二人で必死にやりくりしています。そんななか、本日、以下のような紙がポストに入っていました。とても悲しい思いをしました」
一緒に投稿された写真には、メモに「毎日、泣き声が上まであがってきます。もしかして……⁈ けいさつ(原文ママ)へ連絡しますよ」と手書きされていました。他の部屋の赤ちゃんの泣き声をうるさいと感じる人は少なくありませんが、マンションの管理会社が間に立つなどの解決方法が考えられます。
しかし、苦情がエスカレートして嫌がらせをする隣人もいるようです。弁護士ドットコムの法律相談コーナーには、赤ちゃんの泣き声を快く思わない隣人から、嫌がらせの手紙をポストされたり、虚偽の児童虐待を警察や児童相談所に通報されたりしたという相談が、複数寄せられています。こうした隣人の行為は、法的に問題はないのでしょうか。濵門俊也弁護士に聞きました。
嫌がらせ目的で、「子どもが児童虐待されている」と虚偽の通報を警察や児童相談所にすることについて、法的に問題はないのでしょうか。
「『泣くことが仕事』といわれる赤ちゃんの泣き声が『騒音』といわれかねない時代とは、何とも世知辛い話です。ただ、だからといって嫌がらせ目的で、虚偽の通報を警察や児童相談所にすることは、明らかな犯罪行為です。
すなわち、偽計を用いて、人(警察官や児童相談所の職員)の業務を妨害していることから、偽計業務妨害罪に該当し得ます。警察や児童相談所からしますと、児童虐待の通報があった以上、動かざるを得ない立場にあります。
通報の時点ではその内容が事実か虚偽かを判断することはできないからです。結果、単なる嫌がらせであった、ではすみませんので、絶対にやめてください」
では、「通報するぞ」といった脅しの手紙を直接、郵便ポストに投函することは問題ないのでしょうか。
「脅迫罪が成立し得るためには、『通報する』行為が人の意思を畏怖させるに足りる害悪の告知に該当するかどうかが問題となります。この点に関し、害悪の告知には適法行為も含みますので、『通報する』行為は害悪の告知に該当し得ます。
あとは、人の意思を畏怖させるに足りるものかどうかですが、通報により、警察官や児童相談所の職員がたびたび臨場することがつづけば、妙な噂(件の家庭では虐待が行われているようだ等)が立ってしまい、引越しを余儀なくされるような場面も生じるおそれがあります。
周囲の状況からしますと、脅迫罪に該当し得る可能性はあります。いずれにしても、虚偽の通報や嫌がらせは度が過ぎますと、犯罪行為に該当し得ることは、よく押さえておいていただきたいと思います」
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
濵門 俊也(はまかど・としや)弁護士
当職は、当たり前のことを当たり前のように処理できる基本に忠実な力、すなわち「基本力(きほんちから)」こそ、法曹に求められる最も重要な力だと考えている。依頼者の「義」にお応えしたい。
事務所名:東京新生法律事務所
事務所URL:http://www.hamakado-law.jp/