MotoGP第15戦日本GPでMoto2クラスにワイルドカードで初参戦し、ポイントを獲得した榎戸育寛は、Moto2ライダーとともに走り、いくつか感じたことがあったようだ。
決勝レースは25番手からスタートし、序盤で10台以上かわした榎戸。最終的には14位でフィニッシュし、Moto2初参戦ながら2ポイントを獲得した。
榎戸は事前のインタビューでトーマス・ルティと走りたいと語っており、レースウイーク中にそれは実現したようだ。
「ルティと走りましたよ。速かったです(笑)。見てて無駄がなかったというか、やっぱり走りが綺麗ですね」
そんな榎戸が、世界を戦うライダーたちとともに走り、違いをいくつか感じたという。
「レースウイークを通していちばん感じたのがラスト1ラップのプッシュがすごいことですね。前のラップで何回もハイサイドになったり、スリップダウンしそうになってるのに。おそらく走りの手数がないと思うんですよ。手数を残してる感じがまったくなかった。それなのに1秒近く上げられる精神力は、すごく見習うべきものがありました。そこはライディング的な面ではないので、できないことではないです」
また、Moto2ライダーに見られるブレーキングでのリヤのスライドは、意図的ではなく自然と出てしまうために起こっているようだ。
「Moto2のライダーはマシンのスライドがすごいじゃないですか、あれは全日本を走ってる人がカレックスのマシンに乗ってもできるんです。でも速さに繋がらないんですよ。やっても速くならなくて。Moto2ライダーがみんなやってるのはスライドさせたくないけど出てしまう分なんでしょうね」
「ウエットでは完全にそんな感じがありました。したくないけど出てしまうというか。速いライダーほどスライドしていませんでしたし、綺麗に走ってましたよ。スライドしないと初期で曲がらないのでやるにはやるのですが、それ以上にMoto2のマシンは(スライドが)出てしまうんですよ。それを必死に止めてるので、そこが違うと思いました」
また、使用しているマシンについても全日本ロードレース選手権との違いを感じたという。
「全日本で使ってるダンロップタイヤと違って(Moto2のダンロップタイヤは)全然グリップ感が低かったです。エンジンもトルクが無くてパワーはある感じでした。パワーバンド域に入ると凄く加速するので、高回転を維持しなければいけない。走り方的には2ストロークのバイクに近いですね」
初の世界選手権で健闘した榎戸。最後に「GPライダーはみんな速いですけど、自分の速いところをしっかりと利用して立ち向かっていけば、トップは難しいですけど、そんなに気後れするレベルではないと感じました」とコメントを残した。