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スーパー耐久:Le Beausset Motorsports 2017年第6戦岡山 レースレポート

2017年10月19日 13:12  AUTOSPORT web

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DENSO Le Beausset RC350
雨の岡山でDENSO Le Beausset RC350が2位チェッカー。レース後にまさかの結果で、シリーズ2位となる

 今シーズンはFIA-F4、スーパーFJと併せて挑む、ル・ボーセモータースポーツにとって最高峰カテゴリーである、スーパー耐久シリーズの第6戦が10月14日(土)、15日(日)に岡山国際サーキット(岡山県)で開催された。
 
 使用するマシンは2シーズンにわたって開発、熟成が進められてきたレクサスRC350で、「DENSO Le Beausset RC350」としてST-3クラスに、嵯峨宏紀、中山雄一、山下健太の3人を擁して挑む。
 
 今シーズンは、ここまで2勝をマークし、第2戦からは表彰台に登り続けている。特に高得点可能な富士10時間こと「SUPER TEC」において3連覇を達成したことにより、この最終戦には悲願のタイトルに王手をかけて挑むこととなった。
 
 ランキング2位との差は15ポイントであるだけに、6位以内でのゴールが最低条件。決して高いハードルではないが、勝負の世界に「絶対」は存在しないだけに、気を緩めることなく挑み、むしろ優勝を狙う心構えでサーキット入りした。
 
予選 10月14日(土)
天候/曇り
コース状況/ドライ

 スーパー耐久第6戦10月14日(土)~10月15日(日)岡山国際サーキット3.703km 週末まで不安定な空模様となる予報で、金曜までに天候は目まぐるしく変わり、ウエットからドライとコンディションが変化するなか、それぞれの条件でのセッティング、タイヤチョイスも含めたさまざまなテストをこなした。
 
 ようやく予選が行われる土曜日になって、上空は灰色の雲に覆われていたものの、完全なドライコンディションで走れるようになる。今回は久々の3時間レースでの2グループ開催とあって、グループごとAドライバー、Bドライバー、そしてCドライバーの順で計測された。
 
 Aドライバーセッションに挑んだ嵯峨は、トラフィックを避けるため、計測開始から2分ピットで待機してから走行をスタートする。1周をしっかりウォームアップに充てて、準備を整え、次の周からアタック。まず1分39秒707をマークし、その勢いで1分39秒664まで短縮し3番手につける。
 
 若干のバランスの悪さを嵯峨は訴えていたため、アジャストされた状態から中山は走行。同じく少し待機した後にコースに入ると、3周目に1分39秒204にタイムアップを果たし2番手につけて、予選順位を決めるAドライバーとBドライバーの合算タイムで3番手となる。
 
 この後に行われたCドライバーセッションでは、ユーズドタイヤ、満タンの決勝レースを想定した状態で走行。セッティングの最終チェックを行った山下が1分40秒718で2番手につけて、トップを狙える状態で決勝へと臨むこととなった。

決勝 10月15日(日)
天候/雨
コース状況/ウエット

 日曜日の天気は一転して、早朝から雨模様。それも一度としてやむことはなく、終日路面は濡れたままであったため、セーフティカースタートで始まる。スタートドライバーの山下は、セーフティカー先導2周の、その2周目、次の周から本格的にレース開始となるタイミングでピットイン。
 
 ここで素早く中山とチェンジして、ST-3クラスのピットイン組では先頭でコースに戻すことに成功。前にいるのは未交代の3台のみで、うち1台は5周目にかわし、もう1台も6周目にかわした一方で、トップを争う車両にはタイヤを持たせるべく無理をせず前を譲り3番手に。
 
 まもなく中山は、ST-3クラスの車両とは前も後ろも離れた状態で、ミスなく安定したラップタイムで周回を重ねて、ほぼ2時間を経過した58周目に嵯峨とバトンタッチ。給油と左側のタイヤのみ2本を交換してコースに送り出すと3番手に戻った格好だが、前をいく1台は、まだ義務づけられた2回のドライバー交代を完了しておらず、やがて2番手に上がるのは時間の問題だった。
 
 予想どおり74周目に、嵯峨は2番手に浮上。トップからは約50秒離れていたが、プッシュを続けて少しずつその差を縮めて、追いすがる後続からのプレッシャーを感じることなく、「DENSO Le Beausset RC350」は2位でフィニッシュ。3年目のチャレンジにして、ようやくつかんだ栄冠とあって、ピットは歓喜の輪に包まれた。
 
 だが、それからしばらくしての再車検で、燃料タンクの最低地上高違反によって、まさかの失格という裁定が下されてしまい、シリーズは2位という結果に。
 
 とはいえ、年間2勝、全戦で完走を果たし、チームは大幅な進化を遂げたのは紛れもない事実。来季も、チャレンジャーとしてさらに強いチームを目指し臨むことを誓う。

コメント
チーム監督 坪松唯夫
「レース後の再車検で最低地上高に問題があるという事で失格と言う判定が下された。この判定に関しては駄目なものは駄目とチーム全体が反省しなければならない」

「シリーズチャンピオンが手中にあっただけに悔しい思いしかないが、もう一度手綱を引き締めて何処の追撃をも許さない強いチームとクルマを作らなければならない」

嵯峨宏紀
「僕はメカニックのみんながより良くしようとして一生懸命やってくれたがゆえに、起きてしまったアクシデントだと信じています。感謝こそすれ、不満なんてひとつもありません」

「ただ、1年を通じてトラブルなく、僕らドライバーもミスなく終われて、最終的な結果は残念ですが、確実に進化を遂げられたと思うので、ここをまた新たなスタートとして、来年頑張りたいと思います」
 
中山雄一
「僕はチャンピオンが獲れて当然だと思っていましたから、この結果はすごく残念ではありますが、年間通しては、過去2年間より格段にレベルが上がって、表彰台にいつも立てました」

「でも、それ以上に実力の高いチームがあったのは事実なので、そこに近づくにはどうしたらいいか考えて、より良いチームになっていったらと思います」

山下健太
「今回、僕は2周しか走らず、『最短周回記録を4周から2周に更新できました!』なんて軽口が叩けるぐらい、レース後にはハッピーな状態だったのですが、まさかこんなことになってしまうとは」

「『これもレースですから』と僕には言うことができず、とても複雑な心境です。今シーズの戦いのなかで、鈴鹿も富士の10時間も優勝して、2位も2回と全てのレースでリタイヤすることなく完走を果たしてきたチームの総合力は、格段に進化してきたのは証明できたと思います」