WRC世界ラリー選手権に参戦するMスポーツは、2018年からオット・タナクがTOYOTA GAZOO Racing WRTに加入することを受けて、これまでの活躍に感謝の意を示した。
2017年からWRC世界ラリー選手権へ復帰参戦しているトヨタ。今季はヤリ-マティ・ラトバラとユホ・ハンニネン、エサペッカ・ラッピの3名を起用してきたが、参戦2年目となる2018年はハンニネンに代わり、これまでMスポーツのドライバーを務めてきたタナクをラインアップに加える。
エストニア出身で現在30歳のタナクは、2009年にMスポーツを率いるマルコム・ウィルソン代表の興味を惹き、チームの育成プログラムに加入した。
2011年にはフォード・フィエスタS2000でFIA S2000世界ラリー選手権に参戦すると、シーズン3勝を挙げて、ランキング2位につける活躍をみせる。
この功績が評価され、タナクは2012年からWRCへフル参戦を開始。しかし、その後、数年はクラッシュなどが多く、2015年のWRC第3戦メキシコではコースオフして、マシンごと湖へ転落するアクシデントなども起こしている。
2015年はドライバーズランキング10位と低迷したものの、ウィルソン代表は見放すことなく、翌年もタナクを継続起用。DMACKワールドラリー・チームとして戦う3台目のフォード・フィエスタRS WRCのステアリングを任せた。
そんな2016年シーズンはタナクにとって、ターニングポイントとなったシーズンと言える。第7戦ポーランドで序盤から首位を快走し、最終日の4SSを残した時点で約21秒の大量リードを築き、WRC初優勝に王手をかけたのだ。
しかし、最終日はそれまでから一転してウエットコンディションとなり、タナクは雨とわだちの深い路面コンディションに苦戦。最終ステージ目前のSS20では右フロントタイヤがパンクする不運もあって、総合2位に終わり、フィニッシュ後には悔し涙をみせた。
迎えた2017年シーズンは王者セバスチャン・オジエのチームメイトとしてカーナンバー2のフィエスタWRCをドライブ。第7戦イタリア・サルディニアで念願の初優勝を手にしたほか、第10戦ドイチェランドでも優勝するなど安定した走りをみせ、今シーズン2戦を残した時点で、ポイントランキング2位につけ、タイトル獲得の可能性も残している。
チームは公式ホームページで、タナクとコドライバーのマルティン・ヤルベオヤに感謝の意を表明。ウィルソン代表も「今年、チームの活躍を支えてくれたオットとマルティンにさよならを伝えるのは本当に難しい」とコメントしている。
■「ひと目見た時からポテンシャルに気づいていた」
「私がこれほどまで情熱を注ぎ、チャンスを与えたドライバーは存在しない。ひと目見た時から、彼の秘めたポテンシャルに気づいていたからだ」
「私が興味を覚えた時から、オットは速さを備えたドライバーだった。そして近年はドライバーとして完成の域に入りつつあり、ラリーで勝つことはもちろん、シリーズチャンピオンになる可能性も充分にある」
「彼らに別れを告げるのは簡単ではないが、オットとマーティンが新しい場所で活躍するチャンスであり、その将来が輝かしいものであることを祈りたい」
「また今シーズンは、我々にとって重要な2戦が残っている。Mスポーツのために彼らが全力を尽くしてくれると確信しているよ」