衆院選の投開票が行われる10月22日(日)は、北海道を除いた全国で雨になる見込みだ。気象庁によると、台風21号はフィリピンの東を北北東に進んでおり、ゆっくりと日本列島に接近しているという。そのため、22日の降水確率は東京以西の本州・四国では軒並み70%、九州や沖縄では80%になるところもある。
一般に、外出を控えたくなるような悪天候や、行楽に出掛ける人が多くなる晴れだと投票率が下がるとされている。投票率が下がれば、組織力や支持基盤を持つ自民党や公明党に有利になる。逆に、無党派層を取り込めない野党は不利になってしまう。
そのため、立憲民主党の公式アカウントは10月17日、
「ぎゃあああああ。台風が投票日に直撃との予報がでています。雨だと投票率が下がります。台風だと…。期日前投票をもっともっと呼びかけましょう!」
と嘆いていた。
前回2014年の衆院選は雨ではなかったが過去最低の投票率
自民党広報の公式アカウントも、「22日の投票日は大雨や強い風が予想されます。今後の台風情報にご注意いただくとともに、投票の権利を無駄にしないために『期日前投票』に行かれる事をおすすめします」とツイートしていた。投票率が低いと与党に有利だとも言われるが、ここ最近若年層の支持率が高い同党は、雨で若者が投票しなくなることを心配しているのかもしれない。
選挙の日に雨が降ることを懸念しているのは、政党関係者だけではない。ネットでは、「日曜日は雨になりそうです。 皆様、期日前投票を!」「週末のお天気は最悪になりそうなので 期日前投票に行きませんか?」と期日前投票を呼び掛ける声が相次いでいる。
しかし、天気が悪いと必ずしも投票率が下がるわけではない。総務省がまとめた「目で見る投票率」によると、1972年と1986年に実施された衆院選の投開票日はいずれも雨だったが、投票率はそれぞれ71.76%、71.40%と7割を突破している。
投票率が高いとされる曇りであっても、2003は59.86%と6割を切っている。過去最低の52.66%を記録した2014年の前回衆院選挙も晴れのち曇りだった。
「投票率は選挙戦の構図や制度的環境で決まると思う」
参院選の投票率にも同じことが言える。確かに最も投票率が高かった1980年(74.54%)は曇りだったが、1974年(73.20%)、1986年(71.36%)はいずれも雨だった。1995年は曇りだったものの、投票率はわずか44.52%。2番目に低い1992年(50.72%)も曇りだった。
エール大学の助教授や衆議院議員を務めたことのある斎藤淳さん(政治学)も、「天気と投票率の関係はそれほど大きくなくて、集計レベルでは、制度的環境や選挙戦の構図で決まるのが投票率だと思う」とツイート。天気よりも、選挙戦の争点などが投票率に影響を及ぼしている可能性は高い。
ただし斎藤さんは「天気悪くても投票する人は投票するだろう。だけど、台風となるとどうか分からんね」ともつぶやいていた。天気が投票率に直結しなくとも、台風ともなると投票所に行くのをやめてしまう人もいそうだ。