2018年のTCRシリーズ投入に向け、イタリアのJASモータースポーツが開発・製作を担当した新型『ホンダ・シビック・タイプR TCR』がシェイクダウンを敢行。また、プジョー・スポールはポールリカールで開催された『308カップ』の会場で、改良型となる『プジョー308 TCR』を初披露した。
WTCC世界ツーリングカー選手権のTC1車両製作や、ワールドツーリングカーチームのオペレーションも担当するJASモータースポーツは、世界中のTCRカテゴリーに投入されている旧型シビック・タイプR TCRの製作、供給も担当。
その流れを受け、2017年初頭には市販モデルに新型のFK8型が登場したのに合わせ、来季2018年向けに新たにTCRマシンを設計するとアナウンスしていた。
この新型TCRモデルを、今年の12月には25台のマシンを顧客の元に届ける予定だと明かしたJASモータースポーツは、ファクトリーからもほど近いイタリア国内のミラノ近郊にあるタツィオ・ヌボラーリの名を冠したトラックで初のテストを実施。
そのシェイクダウンを担当するドライバーには、元TCRイタリアのチャンピオンであり今季はTCRインターナショナル・シリーズでホンダのトップチームとして活躍するM1RAに所属するロベルト・コルチアゴが起用された。
現在、シリーズランキングでもトップランナーに位置する49歳のコルチアゴは、この新型マシンの感触を「ポジティブなものだった」と振り返った。
「誰もドライブしたことのないマシンの、最初のテストを担当できるのは本当に素晴らしいことだ」と、コルチアゴ。
「これは本当に最初の一歩で、多くのことを語るのは時期尚早であることは断っておく必要があるが、すでにイニシャルの状態でバランスは良く、ギヤボックスやその他の主要エリア、空力性能などの分野はすでに旧型モデルを上回っていると思う」
「現在のマシンも数多くのシリーズでタイトルを勝ち獲るだけの性能を備えているので、来季このマシンでレースができるドライバーは、非常にコンペティティブなパッケージで挑むことができるだろう」と、初期のインプレッションを語ったコルチアゴ。
一方、同じ週末にフランスのポールリカールで開催された『308レーシングカップ』のパドックでは、このカップレーサーをベースとした『プジョー308 TCR』の2018年モデルがアンベイルされた。
プジョー・スポールがR&Dの関与を深めたこの2018年モデルは、従来から引き続き1.6リッターの4気筒直噴ターボを搭載。このエンジンの出力アップを主眼に開発が進められ、主なライバルである2リッター・ターボ勢と互角に戦うべく、熱効率改善やターボの最適化などが図られた。
プジョー・スポールは、このほど新設されたモータースポーツ・センターの施設で、グループ内のDSパフォーマンスや、シトロエン・レーシングと拠点を同じくする体制となり、この新型308 TCRのエンジン開発には、同じレーシング直噴ターボの開発実績を持つシトロエン・レーシングのノウハウが活用されていると明かす。
従来型モデルはインターナショナル・シリーズでの実績には乏しいものの、この週末にベルギーで最終戦を迎えるTCRベネルクスでは、ケビン・アブリングやオーレリアン・コンテ擁するDGスポーツ・コンペティションがタイトル争いを展開するなど、その軽量さからくるハンドリング性能の良さで勝負している。
発表モデルのエクステリアを見ても分かるとおり、その308にさらなるパワーと空力性能向上が見込まれれば、新型シビック・タイプR TCRとともに、各TCRシリーズのトップコンテンダーの1台として、来季の増殖が見込まれる。