“空のF1”とも呼ばれるレッドブル・エアレースの2017年シーズン最終戦が10月14~15日にアメリカのインディアナポリスで行われ、第101回インディアナポリス500覇者の佐藤琢磨が見守る前で、唯一の日本人パイロットである室屋義秀は優勝。シリーズチャンピオンに輝いた。
2009年からレッドブル・エアレースに参戦している室屋は、今年8月に行われたスーパーGT第5戦富士、全日本スーパーフォーミュラ選手権第4戦もてぎでデモフライトを行っており、その迫力あるフライトを目の当たりにした方も多いはず。
その室屋はランキングトップにつけるチェコ出身のマルティン・ソンカと4点差のランキング2番手で、最終戦インディアナポリスに臨んだ。
雨も降り、気流も不安定な状況のなか行われた決勝、勝者を決めるファイナル4に駒を進めた室屋は難しいコンディションでも攻めたフライトをみせて、1分3秒026を記録。従来のコースレコードを1秒以上縮め、ソンカにプレッシャーをかける。
最後にアタックしたソンカは2位以上を獲得すればチャンピオン獲得となったが、機体にメカニカルトラブルを抱えたうえ、バーティカルターンでストールし4秒以上もタイムロス。1分7秒280の4位に終わった。
この結果、室屋がシーズン4勝目を挙げると同時にアジア人初のワールドチャンピオンを獲得。偉業を成し遂げてみせた。
「インディアナポリスで勝てたことが信じられません」と室屋。
「史上もっとも僅差のチャンピオン争いだったと思います。シーズン序盤に出遅れていたので、チャンピオン獲得は険しい道のりでした」
「自分のタイムを見たとき、掲示システムが故障していると思いましたよ」
「事前のシミュレーションでも、あのタイムは出ないとされていました。なにかが僕を後押ししてくれたんだと思います」
「ファンや家族、チームスタッフ、支えてくれている人々全員に感謝しています」
この最終戦で室屋にエールを送るべく、会場に駆けつけていた琢磨も室屋を祝福したほか、同じインディアナポリスで偉業を成し遂げた者として、ブリックヤードで記念撮影にも臨んでいる。