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「就活中」に交通事故、大事な面接に行けない! 無職でも休業損害を請求できる?

2017年10月16日 11:13  弁護士ドットコム

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就職活動中に交通事故に遭った場合、休業損害を請求することはできるのでしょうかーー。こんな質問が、インターネットのQ&Aサイトに投稿されています。投稿者は就職活動中だったため、身分上は「無職」であるものの、就職意思があったことから、休業補償の請求をしたいと考えているようです。


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確かに、事故にあわなければ、就職活動を続け、その結果として、就職が決まったり、働いて給与を得たりしていたかもしれません。就職活動中だったとしても、休業損害が発生したと認められ、賠償請求できる可能性はあるのでしょうか。三野久光弁護士に聞きました。


●休業損害は認められる?

「無職者は原則として休業による損害は生じません。しかし例外として、労働能力及び労働意欲があり、就労の蓋然性がある場合(おそらく就労しただろうと考えられる場合)には認められます。したがって、就活中の無職者はこの例外にあたるとして、休業損害が認められる場合もあるかと思います。


たとえば事故後、身体状況が改善し、就労可能になるまでの期間が比較的短期間の場合には、具体的な就労予定が明らかにされない限り、この蓋然性が否定されることが多くなります。逆に、怪我の程度や後遺症が重いもので、入院やリハビリなどで治療期間が長くなると、いかに無職者とはいえ、その期間も就労しなかったとは認定しにくく、認められることが多いようです」


休業損害はどのように算定することになるのか。


「その場合、休業損害の算定基礎は、『賃金センサス』を基準に、それよりやや減額した収入(8割程度)とする判決例があり、参考になるでしょう。賃金センサスとは、厚生労働省が実施する『賃金構造基本統計調査』の結果をまとめたもので、地域、雇用・就業形態、性別、年齢、学歴などの属性をもとに賃金の目安となる資料です。


もし仮に、就職の内定を得ていた場合には、その内定していた会社の給与規準等が立証できればそれを元に計算することができます。また、できないときには賃金センサスを基準に減額して決められると考えていいでしょう」


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
三野 久光(みの・ひさみつ)弁護士
同志社大学卒、1987年4月弁護士登録、大阪弁護士会交通事故委員会委員長等歴任、2015年9月からシリウス法律事務所 共著に「狙われる!個人情報・プライバシー 被害救済の法律と実務」(民事法研究会)、「Q&A 自動車保険相談」(ぎょうせい)など

事務所名:シリウス法律事務所
事務所URL:http://www.sirius-law.net