香取慎吾が、本日10月13日から東京・表参道のスパイラルガーデンで開催中の展覧会『日本財団DIVERSITY IN THE ARTS 企画展 ミュージアム・オブ・トゥギャザー』に作品を出展。同日行なわれたオープニングレセプションにサプライズ登壇した。
■作家の香取慎吾です」
これまでもペインティング作品を制作してきた香取慎吾だが、アート展への参加は初めて。同展への参加作家が順番に紹介され、23人目の作家として最後に呼び込まれた香取慎吾は、盛大な拍手を浴びながら登場。
第一声で「みなさん、こんばんは。作家の香取慎吾です」と自己紹介をした香取は、「作家として紹介されるなんて、すごくおこがましく、しかし正直、すごく嬉しいです」と喜びのコメント。「絵を描くのが大好きで、今までたくさんの絵を自分の心をぶつける場所として描いてきたんですけど、こういう企画展や展覧会に出展させていただくというのは初めてのことで、これだけ素晴らしいアーティストのみなさんの作品の中に自分の絵が飾られているというのが、もう本当に嬉しく思っています」と語った。
■「僕と、ここで握手!」
絵を描くことについて香取慎吾は、「自分の想いとか心が爆発しそうなときに、それを絵にぶつけて、それで気持ちが安らいで、その絵は終わるんです。でもやっぱりどこか、作品として一人でも多くの人に自分の絵を見てほしいという想いもある」と明かした。
会場にはアトリエ・ワンによるスロープも設置されている同展については、「車椅子の方でも見やすく、すごくアートを楽しめる展覧会になってます」とアピール。そして「(会期中には会場に)僕も何回も来ます。僕と、ここで握手!」とコメントし、会場のあたたかな笑いを誘った。「今回は参加できて、とっても幸せです。ありがとうございました」と挨拶を締めくくった。
■自らの言葉で作品解説
さらに出展作品『イソゲマダマニアウ』『火のトリ』を自らの言葉で解説。
「アニメにこんなキャラクターがいたらいいな」と思って描き始めた作品だという『イソゲマダマニアウ』については、「自分たちはどうしたらいんだろう? と「この先」を見失ってしまった男女を、真ん中の彼が『急げ、まだ間に合うよ。今からでも遅くないよ。まだ大丈夫だよ』って支えてくれているような絵です」と説明した。
『火のトリ』については、「仕事場で描いた絵」と語る。「お仕事をしている最中に、打ち合わせなどをしていて、頭がいっぱいになって、ちょっと中断していただいて。その辺にあったダンボールに、いつも持ち歩いている絵の具を使って書き殴りました」と創作時のエピソードを披露した。「自分が絵を描くときは、もっと遠くへはばたきたいという想いが、頭の中で煮詰まった時に絵を描いて、その絵がはばたけた瞬間にまた次に進める。そんな絵です」と明かした。
退場時にはステージからフロアに降り、作家たちや来場者たちと写真撮影を行なった。『ミュージアム・オブ・トゥギャザー』が掲げる、健常者も障がい者も境界なく関係を結びあい、共鳴しあうというテーマを体現するような瞬間だった。
■「新しいこと、始まってます」
報道陣に向けられたフォトセッションでは、作家陣やキュレーターのロジャー・マクドナルド、塩見有子(NPO法人アーツイニシアティヴトウキョウ[AIT/エイト])、日本財団会長・笹川陽平、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会事務総長の武藤敏郎らと共に撮影に応じた。
フォトセッション後には記者から心境を問われ「すごい嬉しいです。新しいこと、始まってます」と笑顔で答えた。「これからもこういう形でアートに関わっていきたいと思ってます」と語った。
■『ミュージアム・オブ・トゥギャザー』展とは
同展は多様性の意義と価値を広く伝えることを目的とするプロジェクト「日本財団DIVERSITY IN THE ARTS」の初となる企画展。多くの鑑賞者にひらかれた展覧会を目指し、何か困ったときのためにスタッフが常駐する「ウェルカム・ポイント」、照明を落とした静かに過ごせる部屋「クワイエット・ルーム」、音声を通して作品を知ることのできる「オーディオ・ディスクリプション」、階段部分には勾配を意識したスロープなどを設置する。
参加作家は青山悟、占部史人、Emi、川内理香子、クリスチャン・ヒダカ、小松和子、清水千秋、清水ちはる、土屋信子、土屋正彦、寺口さやか、ピーター・マクドナルド、藤岡祐機、古谷秀男、堀江佳世、松永直、水内正隆、みずのき絵画教室、森雅樹、八島孝一、竜之介、渡邊義紘、香取慎吾。展示は10月31日まで表参道のスパイラルガーデンで開催。会期中は展示のほか、ワークショップも行なわれる。同展のオフィシャルサイトでは、香取慎吾によるメッセージ動画も公開中だ。
以下は資料に掲載された香取慎吾によるメッセージ。
「障害があるかどうかは関係なく、人は誰かがいないと生きてはいけません。僕自身、誰かにサポートしてもらいたいと思うこともありますし、困っている人がいたらサポートしてあげたいと思う。そうした感情に垣根はないと思うんです。そして、このことに気づかせてくれる一つのきっかけがアートなのではないかと思います。僕にとってアートとは、ルールやゴールが存在しないもの。始まりにも終わりにも正解はなく、自分の物差しで決めることができる、かけがえのないものです。常日頃、そんな思いを抱いている僕が、このような境界線のないアート展に参加できるなんて、こんなに嬉しいことはありません」